こちらのアイテムは2022/5/29(日)開催・第三十四回文学フリマ東京にて入手できます。
くわしくは第三十四回文学フリマ東京公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

セーラー服のスカーフが翻るとき

  • ア-31〜32 (小説|エンタメ・大衆小説)
  • せーらーふくのすかーふがひるがえるとき
  • 武中ゆいか
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 48ページ
  • 400円
  • 2021/05/16(日)発行
  • 電子書籍「およそ夏のおわり」「雪うまれ、真夜中そだち」に寄稿の武中ゆいかが、
    文学フリーマーケット東京に向けて、書籍「セーラー服のスカーフが翻るとき」で参加。

    ■「セーラー服のスカーフが翻るとき」

     祖母が初めて私の制服姿を見たとき「海老茶色の綺麗なスカーフね」とほほ笑んだ。  目を細め、どこか眩しそうにする祖母のまなざしに、胸の辺りがちくりと痛んだ。海老茶色、このワインレッドに少し暗みがかったような赤い色にずいぶんと渋い名前がついているものだ。スカーフに視線を落とすと胃の辺りがきりきりとした。こんな制服、こんな色のスカーフなんて。 「ほら、よく見せて」  孫の成長が嬉しいのだろうか、祖母は私をその場で一回転させた。銀座ユニクロのマネキンみたいに、ゆっくりと無機質に回ってみせる。祖母は柔らかい声で、いいわね、と独り言のようにつぶやいた。新しいもの特有の、体になじむ前、固くはりがあるどこか他人行儀な制服に、袖を通す喜びを感じられない私には息が詰まるお披露目会だった。今思えば、祖母はそんな孫の様子に気付いていたのだろう。しきりに似合っているだとか、素敵だとかを、やはり小さく繰り返し、そのたびに私はこのぎこちない時間が一秒でも早く終わることだけを考えた。
    「明日は黄砂の影響も少なく、すっきりとした晴れ間が広がるでしょう」


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