こちらのアイテムは2026/9/13(日)開催・文学フリマ大阪14にて入手できます。
くわしくは文学フリマ大阪14公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

英雄の蹉跌

  • え-74 (小説|エンタメ・大衆小説)
  • えいゆうのさてつ
  • 河内レオン
  • https://leon-no-hondana.com
  • 【あらすじ】
    昭和二〇年六月一日、大阪の港湾施設を焼夷弾で火の海にしたB29の大編隊の中の一機が、対空砲火の直撃弾を浴びて奈良県の大峰山麓に墜落。墜落寸前に四名の搭乗員がパラシュートで脱出した。その光景を目撃した地元の住人たちは「敵機撃墜!」と歓声を上げたが、同じように空を眺めていた一人の青年、石橋武雄だけは違っていた。親が作った借金の返済期限が月末に迫っていることで頭が一杯であった彼にとって、敵の爆撃機が墜落したことなどどうでも良いことだったのだ。結核に罹患した両親を相次いで失くした武雄は、吉野の最上村で家業の林家を継いだばかりの駆け出しの山守で、若い彼が徴兵されて戦地へ向かうことがなかったのは、徴兵検査で軍医から肺に影があると診断されて兵役免除となった為であった。家族の中から二人もの肺病の死者を出したばかりか、その後継ぎは兵隊にもなれぬ役立たずと見做す村人たちにとって、武雄は村の厄介者である。

    武雄が借金返済のことで切羽詰まっていた理由は、B29が山中に墜落する三日前に家を訪ねてきた村で金貸しをする菊谷源太郎から、最高級の吉野杉が育つ石橋家の山を担保に武雄の父が生前に借りていた金の返済を唐突に迫られていたからで、焼け野原になった都市部で材木の需要が戦後急増することを見越していた菊谷の目的は、戦争が終わる前に石橋家の山を我がものにすることであった。山の杉を切れば借金は返済できるものの、戦時下の木材統制法のせいで直ぐにそれができない武雄は、戦争が終わるまで借金の返済を猶予して欲しいと菊谷に懇願するも海千山千の菊谷に鼻であしらわれてしまい、何もできることのない無力な青年にできたことと言えば、ただ項垂れることだけであった。ところが、B29の墜落から五日後、狩猟を副業にしている武雄がいつものように猟銃を担いで山に入ると、そこで出くわしたのは対空砲火の火災で火傷を負い既に虫の息となっていた米兵で、敵の脇に吊るされたホルスターに拳銃が収まっているのを見つけた武雄の脳裏にある悍ましい考えが過る。それは、米兵の拳銃で菊谷源太郎を殺害し、犯行を敵の手によるものと見せかけるだけでなく、その敵を山で見つけた自分が猟銃で撃ち殺したことにするという完全犯罪であった。

    ※この作品は個人サイト「レオンの本棚」にて無料でお読みいただけます。2026年9月13日(日曜日)に開催の「文学フリマ大阪14」のブースにカンパ用の募金箱を設置しますので、本作を事前にお読みになって作品を気に入っていただいた方の中で会場へ来場予定の皆さまには、是非ともカンパへの協力をお願いしたく思います。また、その際に作品の感想なども聞かせていただけるのならとても嬉しいです。河内レオンは当日、ブースに着席しておりますので、どうぞ、遠慮なくお声がけください。

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