クラシックな吸血鬼譚をテーマにした作品集
2018年1月文学フリマ京都新刊
(お試し版のURLも掲載)
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9032773目次(敬称略)
「Vampire Halloween」……………イラスト アコカズ
「あたらしき我が同胞よ、君のために今宵は最高の晩餐を用意した」
美しき血の一族に用意されたハロウィンの甘く馨しい晩餐。それは……
「1917年の旅人たち」……………………作 宮田 秩早
1917年旧暦の二月 露西亜(ろしあ)
第一次世界大戦のさなか、露西亜で起こった共産革命が、人の歴史を動かそうとしていた。戦争と革命の混乱に荒廃する露西亜(ろしあ)、黒海のほとりに集う人でない者たちの秘やかな夜の旅の行き着くさきは。
「夢想」……………………………作 七輪
十九世紀初頭 独逸
昼の夢……懐かしく、哀しい記憶。
すでに人でない者となって久しい彼に、その夢を見せたのはだれなのか。
「Noapte, ceață, și Zmeu」……………作 ミド
1944年 羅馬尼亜(ルーマニア)
連合軍爆撃機B-24、撃墜さる……現代にはありうべからざる存在、「竜(ドラクル)」によって。捕虜収容所から逃れた連合軍兵士は品良く、美しい曰くありげな青年に救われるが、彼は「竜」とすくなからぬ因縁を持っていた。そしてその「竜」は米国テキサス出身の兵士の大叔父とも、深いかかわりのある存在だったのだ……「竜」とは、護国の意思か、魔道の妖鬼か。
第二次世界大戦末期、古き者たちのいまだ遺る地の「革命」の物語。
「エルフォード探偵事務所」…… 作 齊藤さや
十八世紀末 英国
都会に奉公に出た少年が訪れた「探偵事務所」。
夜しか営業していないその事務所の所長は、ずいぶん変わり者。
所長、女性の依頼しか請けないし、だいたい、秘密の部屋でなにをやってるんだか……
なぜか使用人がすぐに辞めてしまう職場で、職を得た少年の奮闘記。
「真祖と銀灰の従者~念願のもふもふっ!~」
イラスト 羽彩仁海
「いい子だね、おまえ(もふもふもふもふもふもふ)」
(眷属の前ではカッコつけなきゃだし、プライベートは癒されたいわ~~…あ、えっと…コホン。)
宵闇に浮かぶ金の髪を持つ人でない者。彼の君のかたわらにはつねに銀灰の獣が侍るという…………。
「1989年のピクニック」……………作 宮田 秩早
1989年 8月19日 匈牙利
それは1917年に露西亜で始まった共産革命が、ひとつの結末を迎える出来事だった。そこに集うのは、新しい時代を願う人々と、時の向こう側から時代の終焉を見送る者たち……
注「1989年のピクニック」はText-Revolutions6公式アンソロジー「祭」に寄稿した作品を改稿したものです。
カバーおよび表紙イラスト:伊ノ本カズラ