いっぱい得にしてあげるね!
だから根拠がな……まあいいか
紡績工場の女工に出稼ぎに出たはずが、
隣国に攫れかけてしまった10人の《石の子供》の少女たち。
偶然、通りすがりの元第五王子直属特別部隊第二隊隊長、
現退役軍人《ササヅキ》に助け出されたものの、
家に帰ることもままならず、ササヅキについていくことに。
見たことも無い都会に辿り着いた
彼らに課されたのは『就職活動』!
「年季明けで退職金もそこそこ出たが、あいにく
全員養えるほど俺の懐がでかくない。稼げる口を探せ。
本申込では身請人になってやる。
技術はお前の価値を上げる。習いたい者には貸し付ける、
励め」
初めての「勉強」、いままでの家事とは雲泥の丁寧な下働き、
せわしない都会の暮らし。
みなと一緒に新生活に踏み出した最年少の《セリ》は、
ササヅキが食堂を開くと聞いて手伝いに手を挙げたが。
動かないおっさん×動き回る少女が繰り広げる、
剣と魔法はしょぼしょぼの、貧乏くさいなんてことないファンタジー!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
いつものように、1冊の中で8歳が18歳になるまでののんびりスパン。
合間に他の女の子達の話が入る、群像劇になります。
試し読みは
サイトか
創作文芸見本誌会場HappyReadingエブリスタにてどうぞ!
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Twitterモーメント【バイロン本社からのここがお勧め!】 貧しい地方の娘たちが(ただしひとりは有産階級)人身売買されそうになったところを戦傷除隊してきた軍人に助けられ、慣れない生活に戸惑いつつも(そして日々増えていく借金を横目で見ながら)やがて自立してゆく物語。 娘たちが選びうるすべての選択肢が公平に語られ、職業の貴賎のフィルターが一切、かかっていない作者のまなざしに震えがくる。 彼女たちをとりまく「大人」は、優しくはあっても甘くはない。彼女たちの幸福を願ってはいても、「幸福」は施されるものではなく、自分でつかみ取るものだというスタンスを貫いている。彼女たちを救った元兵士は、彼女たちに「学ぶ方法」と「機会」、そして「時間」をあたえはしているが、それにかかる諸経費は、すべて彼女たちの借金として計上されている。施しではないのだ。 読後、行間から聞こえてくるのは、作者の声。「立って、目をまっすぐまえに向けて、さあ、自分で自分の人生を選択して!」 いま、「娘」である者、かつて「娘」であった者すべてに向けた、力強い声に満ちた作品。