R18GなBL
「今、この瞬間、私は君たちを祝福しよう」
幸せの国、そこは誰もが幸せになれる国。
そこで暮らす青年レイは、ある日知り合いの幸せ絶頂のカップルと会う。
レイは彼らに庭に生えていた赤い実をあげ、彼らはそれを食べた──
悪魔×人間のR-18Gのカニバリズムありの甘々エロな物語。
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https://c.bunfree.net/p/tokyo32/20430~~~~~~~本文サンプル~~~~~~~
石畳の路地には落ち着いた色の家が広々と並んでいる。同じような家が建ち並んでいるが、装飾によって様々な個性が出ている。
他とは少しだけ離れた家は、青々とした芝生に覆われた広い庭がある。そこには、大きな赤い実をつけた木がある。
そんな木を丁寧に手入れしている、木と同じくらいの高さの男がいる。彼は肩より長い黒髪を下の方で束ね、白いシャツ、黒いベスト、黒いズボンをきっちり纏っている。その見た目が作業の手付きを表しているようだ。
そこへ、手を繋いで歩いている二人の男たちが近寄る。小柄な男と大柄な男である。
「こんにちは、レイさん」
話し掛けられたレイは手を止めて二人の方を向き、ニコリと微笑んだ。
「こんにちは、リッツさん、ライモンドさん。お元気そうですね」
「うん。今日はね、僕たちがこうして二人になれた記念日なんだ。ねっ」
「ああ。俺がリッツのものになれたのも、幸せの国のおかげだ」
「それはおめでたいですね。あっ、そうだ……」
何かを思い付いたレイは今さっきまで手入れをしていた木を細部までくまなく見始める。自分の頭より少し上の方に真っ赤な実が二つあるのを見つけると、優しく触れて木からそっと離す。
その採れたばかりの実を二人に差し出す。
「これは私からのお祝いです。ちょうど食べ頃なのでよろしければ召し上がってください」
「わぁ、美味しそう。レイさん、ありがとう!」
「ありがとう、レイさん。今日のディナーのデザートにするとしよう」
二人はレイからそれぞれ実を受け取る。顔よりは小さいが、片手で持つには少し大きい。
「それじゃあレイさん、バイバーイ」
リッツは実を持ったまま手を振り、レイに別れを告げる。ニコリとライモンドに微笑み、繋いだ手を離さずにレイの元を去っていく。
その姿を微笑みながら見つめるレイ。二人の姿がどんどん小さくなっていってもまだ見つめている。
気付けばその顔からは笑顔が消えていた。
やがて、完全に見えなくなるとそこから目を離して作業のために使っていた道具を片付け始める。そして家の中へと入っていった。