【報道が語らぬギリシャ危機に潜む民族的風土性】 2012年6月、ギリシャは断崖絶壁の上に一人立ちつくしていた。それを取り巻くユーロが持つ構造的欠陥、暴走するバクチ金融、それでも越境してくる不法移民の群れ、増え続ける失業と自殺。ギリシャ人の叫び !それを嘲笑う国際社会からの罵声「人間のクズ」「ロクデナシ!!」 しかし、そのギリシャという国は、近現代史において最も過酷な歴史を経てきた国の一つであった。 その内面には「エーゲ海の青い海と白い家」といったイメージとは全く別の、深く暗く重い、ギリシャがたどってきた民族風土の姿が横たわっている。 報道ニュースでは決して語られない、ギリシャ危機の背景にある民族風土的な核心を市井の目から語る。
小川光一著 四六版 357 P 税抜定価 ¥1600 ISBN 978-4-9903749-3-8 2012年年9月10日発行
目次 *はじめに *第一章「 1981年10月 あの日」・カオス(混沌)・パソック政権誕生の時代的背景・豪腕アンドレアス-パパンドレウの時代 *第二章「 当時の記憶(1981年から1997年頃)」・インドから見えてきたギリシャ・市井での一幕・エラダはエラダ・オリンピックの精神は金で買われた! *第三章「 忘れられたギリシャ2000年史」・ギリシャは古代でなく現代である・文化を輸出して国を守ってきたギリシャ人・ユナニスタン・500年間の苦闘がギリシャに残したものとは *第四章 「30年目の崩壊」・天国への階段・祭りの後・ギリシャの政治はコボロイだ!・カタストロフィー(破局) *第五章「 ディモシアス-イパリロス(公務員)」・若者の憧れ・シガシガ・キャピタリズモ!(資本主義の横暴)・ギリシャの理想的隠居(The Greece way of life)・公務員汚職という悪習 *第六章 「税金を払うのは一体誰なんだ」・脱税はスポーツだ!・闇に眠るGDP30%・ギリシャではNOの意味はYESなんだよ!・復活(アナスタシア)の条件 *第七章 「ギリシャ人はそんなに働かないのか?」・ギリシャ人怠け者説を考える・元スブラキ屋奮闘記・変革とは何なのか *第八章「 ギリシャ人とFUN(愉しみ)」・ビッグサタデー・ギリシャ人の情操「ディオニソスは本当に日本へ行ったのか」・或るカフェニオでの一日 *第九章 「ユーロ-市場-不法移民」・ユーロが持つ構造的欠陥・暴走するバクチ金融・それでも貧民はギリシャを目指す *第十章「 怖れと怒りの間で」・亡国の徒に対する庶民の怒り・不法移民よ出ていけ!・「俺達にこれ以上の緊縮は無理だ!」 *第十一章「 最期の審判」・躍り出た政界の寵児は救世主か、はたまた狂人か・「出ていけ!」「払わないぞ!」ユーロを舞台にしたチキンゲーム・カタルシスを越えて *おわりに