これまで百作以上の新作講談を書いてきました。私がこれまでの経験から見つけた「講談台本を書くコツ」を、もっとたくさんの人に伝えたい。そう思って始めたのが「講談作家講座」です。
講談台本には、落語や戯曲、あるいは小説とも違う、講談ならではの特別なルールがあります。それがあまり知られていないのは、単に「実際に書いたことがある人」がほとんどいないからです。
でも、いざそのルールを知って書いてみると、自分の頭の中で想像した物語が言葉になり、いきいきと動き出すのです。とても楽しくて、魅力的な表現方法だと気が付くはずです。
自分が書いた台本を、いつかどこかの講談師が高座で、パンパンと張り扇を叩きながら読んでくれるかもしれない。あるいは、令和の時代に生まれた新作講談が、百年後には「古典」として語り継がれているかもしれない。講談台本には、そんな夢とロマンが詰まっております。
今回、「講談作家講座」を始めるにあたって、一回目の生徒を募集したところ、五名の方が集まってくれました。中でも嬉しかったのは、プロの若手講談師が参加してくれたことです。
私は、自ら積極的に学ぼうとする、やる気のある人が好きなので、これからも全力で応援していきます。
そして、五名の生徒さんたちが一生懸命書いた台本を読んでいるうちに、私自身も創作意欲を刺激され、一席書いてみることにしました。
そうして集まった台本を一冊にまとめたのが、本書です。
それぞれが「これが書きたい」と熱意を持って書いた、個性的で面白い作品が揃いました。
それでは、『令和講談集 一番槍』、どうぞごゆっくりお楽しみください。