バルセロナから電車に乗って南へ約三十分。海辺の町、シッチェス。この地は映画ファンには有名で、ホラー映画に特化した「シッチェス映画祭」を開催しています。また、LGBTフレンドリーな町としても知られていて、レインボーフラッグがあちこちに掲げられています。
ここにはヌーディストビーチがあります。ただし、地元の人々の呼び名は「ナチュラルビーチ」。人間は生まれた時は裸であり、裸こそが自然な姿だからです。
さっそく行ってみることにしました。シッチェス駅から歩いて十分、目の前には白い砂浜のビーチが見えてきました。ここはヌーディストビーチではなく、家族連れでにぎわうごく普通のファミリービーチ。
私はアッと驚きました。水着を着て遊んでいる家族連れに混じって、トップレスの女性がたくさんいるのです。若い女性の五人に一人は上半身裸でした。
はじめは少し戸惑いましたが、よくよく考えてみれば、日本でも昭和初期までは、街角で母親が赤ん坊にお乳を飲ませる風景はごく当たり前のものだったそうです。それは決していやらしいことではなく、暮らしの一部であり、自然な姿でした。
左手になだらかな丘が見えます。その向こう側に、ヌーディストビーチがあるのです。
丘を越えると、長さ二百メートルほどのビーチが広がっていました。砂浜にいる百人ほどの人々は、見事に全員が裸なのです。テレビのドキュメンタリーで、浜辺に寝そべるアザラシの群れを見たことがあります。まさにあんな感じ。(続きは本書で)