※作者自身が「手焼き」した自家製本版です。
※文学フリマ限定特価!(通常1,400円のところを1,200円で販売します)
記録的な猛暑が続いているということもあり、納涼企画として自選集【好雪片片】の第二弾「怪奇編」を上梓する。
「怪奇」とはいったいなんだろうか?
辞書などでは「あやしく不思議なこと」となっており、「あやしい」とは「普通と違う(異様である)こと」、不思議とは「考えてもわからないこと」と説明される。
それでは心霊現象や都市伝説に出てくる妖怪のたぐいのことなのかと思いきや、明治期に活躍した哲学者の井上円了は次のように言う。
「真に『妖怪』と呼べるのは人間の心だけであり、そのハタラキの複雑怪奇なことと言ったら鬼神や狐狸の比ではない。つまり、世の中で最も『あやしく不思議』なのは人間なのである」
今回ここに過去二十年あまりの間に書き溜めた文章の中から、私が実際に体験した不可解な出来事、古典や昔話に登場する怪しげなエピソードに関する論考などを選び、収録した。
従って「怪奇」といってもその恐怖度には幅があり、「なんか普通にエエ話」というものも混じっているが、その緩急含め、楽しんでいただけたらと思う次第である。
二〇二四年九月
文野潤也