こちらのアイテムは2025/2/9(日)開催・文学フリマ広島7にて入手できます。
くわしくは文学フリマ広島7公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

はなり亭で会いましょう4

  • B-23 (小説|エンタメ・大衆小説)
  • はなりていであいましょう よん
  • 寝覚の朔
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 166ページ
  • 800円
  • https://dokusyaku.com/page-14…
  • 2023/9/10(日)発行
  • 2020年1月に発表した『はなり亭で会いましょう』から3年と8ヶ月をかけ、ついにシリーズ完結
    派手などんでん返しはありませんが、温かな人間関係に少し変化の兆しが見えます

    イベント頒布の他、委託販売やKindle版もあります
    架空ストアさん

    あらすじ

    はなり亭の店主である御厨喜孝が結婚式のため店を休むと知った重森絢子は、複雑な感情に苛まれつつ日々を忙しく過ごすことで気持ちを紛らわせていた。
    不穏な気配を感じることからも、引っ越しを急ぐ。
    渡辺涼花ははなり亭への不可解な口コミ低評価を知り対応に悩むが、新たな問題も浮上する。

    前向きな変化と予兆

    部署異動を希望していることが職場の後輩に知られ、泣き付かれてしまう重森絢子。同僚からも無責任かつ無遠慮に慰留され、ほとほと呆れかえる。
    また、プライベートではある事情から転居を考えており、年明けから忙しく動いていた。

    (やっぱり、もう少し希望条件を下げたほうが選択肢も増えて見つけやすいのかな?)
     転居先の物件に望むことはいくつかあるが、少し緩めれば選択肢も増えそうだ。今と同じくらいの通勤時間を諦めるか、独立洗面台を諦めるか……あるいは、もう少し家賃を多く出すべきか。
     通勤時間が同程度だとしても、乗換が不便であったり、駅までの距離が離れていたりすると負担に感じるだろう。
     バス・トイレ別は譲れないにしても、独立洗面台は要るだろうか?
     あると身支度しやすいが、自分はさほどオシャレに気を使わない質だから、諦めてもいいのではないか?
     防犯上の観点で考えると、オートロックは欲しいところだ。モニター付きインターフォンだとさらに良いが、単身者向けの手頃な賃貸でそこまでの設備を望むのは難しい。
     希望条件を改めて見直し、諦められるもの・諦められないものを考えながら、絢子は次の目的地を目指す。

    口コミ評価と悩める店主

    口コミサイトで、はなり亭に対する不当な低評価が付いていることを知った渡辺涼花。店主である御厨喜孝に報告するが、デジタル分野に弱いのか生来の呑気さからか、反応はいまひとつだった。
    しかし、御厨は何かに悩んでいる様子もあり、注文の取り違えや調理の不手際が目立ち始め、涼花は不審に思う。

    「涼花ちゃん、テーブル席さんの鶏モモ串とハツ串のタレ焼き出来たし、持ってって」
     料理が出来上がったらしい御厨から涼花へ指示が入る。しかしそれは……
    「え? 御厨さん、あちらのテーブル席さんって、タレじゃなくて塩のはずじゃ……」
    自分でオーダーを取ったのだから間違いないと思いつつ、涼花が伝票を見直すと、確かに「しお」と書いてある。では、自分が御厨へ伝えるときに間違えたのだろうか?
    「そうですよ、店長! 涼花センパイは『塩で!』って、声張って言ってましたよ?」
     涼花の不安は宮田の言葉によって打ち消されるが……ならば、調理した御厨が間違えたことになるわけで……
    「あぁ、せやった、せやった、堪忍。作り直すわ」
    「御厨さん、大丈夫ですか?」
     涼花は思わず、御厨に声をかける。つい先日も、重森が頼んだお酒の種類を間違えている。こうも続けてミスをするのは、やはり何かあるのではないか?
    「あぁ、堪忍。ちょっと、いろいろ考えてしもて」
     気にしていないと言っていても、やはり悩んでいるのだろうか?

    彷徨う心と夜の来訪者

    御厨の存在が今より遠くなる現実に苦しさを感じながらも、絢子は祝福の気持ちを持って受け入れようとしていた。そんなとき、はなり亭への不当な低評価を知り、何か協力できることはないかと考える。図らずも御厨の役に立てることを喜ぶ絢子だが、近づきすぎてはいけないと肝に銘じていた。

     それから絢子は、御厨と頻繁に連絡を取り合うことになった。
    といっても、基本的には新たに開設した、はなり亭のSNSに関する内容で、個人的な話題は出てこない。いつも事務的な文面のメッセージをやり取りして終わる。
     ビジネスライクで冷たい印象を持たれるかも知れないが、多分これでいいはずだ。 引っ越しをすれば今までのペースで通えなくなるから、こうした形で関われるのも悪くないとは思う。ただ、あまり馴れ馴れしく接してはならないと、絢子は自分を律した。
     御厨は間もなく結婚式があるのだから……必要以上に親しくなるのは憚られる。

    繋がれた手と今後の関係

    窮地に立たされた重森の元へ駆けつけるため、御厨が出て行ったはなり亭で涼花は宮田と二人きりになる。重森の助けになりたい一心から、自分も重森のところに行くと宮田に伝えるも止められてしまい……。

     確かに自分と御厨を比べれば、御厨のほうがずっと年上で大人だ。何か問題があったときに頼れるのは御厨のほうだろう。
     でも、見知った存在が側にいるだけでも恐怖を和らげられるのではないだろうか。それは一人よりも二人と、人数が多いほうがいいはずだ。
    「重森サンの役に立つとか、そういう次元のハナシじゃないです! 涼花センパイは直接会ったことないでしょうけど、出禁になった男、俺から見てもめっちゃヤバかったです! そんなところに、涼花センパイまで行かせられないです!」
    「でも、私だって、重森さんの力になりたいよ! 役に立たないかもだけど……安心させられるくらい、できるかもだし……」
     いつだったか、無防備な泣き顔をさらして通りかかった重森を、はなり亭へ迎え入れたことがある。彼女がそんなふうになっていた事情はくわしく知らないが、何か力になりたくて、店に寄っていかないかと声をかけた。
     お節介だったかも知れないが……その後、重森は元気を取り戻してくれたようだったし、自分も彼女の役に立てたことが嬉しく思えた出来事だ。

    真相とお揃いの贈り物

    自分の窮地に駆けつけてくれたお礼と、新しい門出を祝うため、絢子は御厨への贈り物を用意する。いつ渡そうかと考えあぐねていたところ、御厨から呼び出しを受け、思いがけない頼み事をされてしまう絢子。自分の立場を考え、深く関わるべきではないと断る絢子だったが……どうやら大きな勘違いがあったようで?

     はなり亭は明日から営業を再開するが、休業中であるため店の暖簾(のれん)は出ていない。でも、店の中に明かりが灯っている。
    「お邪魔します……」
     控えめな声で絢子がそう言って中に入ると、厨房には御厨の姿がある。ただし、営業中のような作務衣姿ではなく、私服と思われるラフな格好だった。
    「重森さん、わざわざ呼び出してすんません。それもうちの店とか、気の利かんことで」
    「いえ、別に構いません。で、お話というのは?」
     話をするために呼び出したのだから、何か大きな問題があるのかもしれない。そう考えると自然、絢子は緊張する。
     しかし、それを解すかのように、御厨は微笑んだ。
    「夕飯、まだですよね? せっかくやし、食べていってください。呼び出したのに何もないんは悪い思て、拵えたんです」
     御厨がカウンター席へと促してきたが、もてなしを受けるとは思っていなかったから戸惑う。どうぞ遠慮なく、といった雰囲気で御厨が再度、勧めてくるものだから断ることもできず、言われるままに席に着いた。
     そして、前もって準備していたと思われる料理が振る舞われる。青菜と鶏肉を和えた小鉢と蓮根の天ぷら、茶碗蒸し、炊き込みご飯が絢子の前に並んだ。

    エピローグでタイトル回収し、物語は大団円へ――。

ログインしませんか?

「気になる!」ボタンをクリックすると気になる出店者を記録できます。
「気になる!」ボタンを使えるようにするにはログインしてください。

同じ出店者のアイテムもどうぞ

タヌキの懺悔 帰りの記憶がございません! 新装版コミックエッセイ タヌキの日々タヌキの飲み歩き物語 地元 西院界隈編とつげき隣のヒトハコさん〜箱主さんにインタビュー〜【在庫少】はなり亭で会いましょう1はなり亭で会いましょう4はなり亭で会いましょう2はなり亭で会いましょう3はなり亭で会いましょう番外編 再録集読酌文庫の短編とままならない恋愛譚

「気になる!」集計データをもとに表示しています。