「前もって皆さんにお伝えしておくならば、ここに掲載された作品群は、大学時代の総決算として纏められた第二短編集『Brilliant Failure』と第三短編集『SIDEWALKERS』から漏れてしまった短編を集めたものであるということです。ですからもし貴方がただひたすらに質だけを求める読者ならば、悪いことは言わない、別の短編集を買いなさい。別の短編集に収録されている僕の自信作を読んで下さい。それでも何故わざわざいわば二軍の作品を集めて短編集を拵えたのかといえば、一つには僕の詰まらない自己満足なノスタルジアであり、そして一つには、これ等の古びた作品達が、現在の僕の意には沿わない色々と不完全なものであるが故に、その不完全さにこそがむしろ新鮮にすら感じられたからなのです。何かを得たつもりが僕等は何かを失っている。僕が今の自分を形成していくうえで切り捨てていったものすらもこれ等の作品にはまだ残っている。そういうものを拾い集めていくのもまた一つの矜持なのです。 」
……『前書き』より抜粋
●第一短編集。全十七編。改訂して作品数を増やしました。
まだ拙さという名の冒険を楽しめていた時代の一冊です。
『 鴉』
『ゆずレモンサイダーの夜』
『西端にて』
『夜の寿命』
『窒息日和』
『一夜』
『Dust-Box』
『虻』
『箱』
『踏板』
『水色の街』
『丘と骸骨』
『海辺』
『Heil to the Thief』
『鬼子』
『石飛礫』
『幽霊造り』