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虫めづる 二頭目

  • ア-04 (小説|郷土)
  • むしめづる にとうめ
  • 良崎歓
  • 書籍|新書判
  • 60ページ
  • 400円
  • http://silentsiren.yukihotaru…
  • 2017/4/1(土)発行
  • Twitterで呟いていた140字掌編のより抜きまとめ本。学園恋愛もの。
    三度の飯より虫と『彼女』が好きな『彼』と、クラスメイトで『彼』にべた惚れの『彼女』。
    盛大なのろけと虫蘊蓄の140字集+掌編「キタキチョウ」を掲載。
    「2頭目」のとおり第2集ですが、これだけで読んでも全く支障ありません。

    ↓ 本文抜粋です

      *   *   *   *   *   *

     雨と風が弱まるたび、その僅かな合間にアブラゼミの声がする。
    「台風が過ぎたら秋なのに」
    「諦めてないんだろ」
    「何を?」
    「俺が諦めかけてるもの」
     彼女が首を傾げる。
     あれはオスがメスを呼ぶ声だ。まだ恋をしたくて鳴いているのだ。
    「頑張ってみたら?」
    「君が応えてくれるなら」


      *   *   *   *   *   *


     家族旅行のお土産、と彼がくれたのはストラップ。少しいびつなトンボ玉は、彼が好きな青みがかった緑色だ。
    「もしかして手作り?」
    「やっぱ分かる?」
     彼は照れ臭そうに頭を掻く。
     トンボ大好き、特にオニヤンマが大好き、そしてオニヤンマの眼鏡の色が大好き。証拠は揃っているのに。


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