海と人魚をテーマにした、SF・ファンタジー短編集。隔たって生きるふたりを描いた6作を収載。
水の海、星の海、砂の海――様々な舞台の「海と人魚」の物語をお楽しみください。
「試されるエロス」とご好評頂いていますが、描写は極めて健全です(たぶん)。
【収録作紹介】
「白露」「海神の炎」……鬼の若頭と人魚の姫の視線の交差を描く和風ファンタジー。人魚姫+桃太郎?
「宙の渚のローレライ」……何でも屋の宇宙船乗りとAI、そして彼らを見送る管制官のコメディタッチSF
「エフェメラのさかな」……エネルギー王の娘と機械仕掛けの人魚が紡ぐアラブゆり(!)
「ウルトラマリン」……喪服の画家と海辺の町で育った少女が見る海
「スオラ」……人魚の呪詛と憎悪によって生まれたふたごの邂逅と離別
◆Text-Revolutions公式アンソロジー「和」参加作
「白露」……4000字のダイジェスト版です。試し読みとしてもどうぞ。
【バイロン本社からのここがお勧め!】わたしと、あなたが生きてゆく、そのことの不自由さを 最初の二作以外、世界や、時代や、登場人物が違う六編の短編集。
・「海神の炎」「白露」:ただそばにあれば叶うと信じていたみずからの過去に裏切られた人魚の物語。自身の自身たるべきすべてを失った彼女が選んだ「生きるべき場所」とは。
・「宙の海のローレライ」:港と船、長く離ればなれに暮らさざるをえない恋人たち、そして星の海で唄い続けるものの物語。
・
「エフェメラのさかな」:すべてが与えられているように見えながらも大切なものを与えてもらえなかった娘が、幼年期の自分に別れを告げる物語。
・「
ウルトラマリン」「スオラ」:それぞれ、人魚を呪い、呪われたひとびとの苦悩と選択の物語。
わたしと、あなた。それぞれに生きづらく、執着しても溶け合えない「個」を抱えた彼らが、大地にすっくりと立つにはすこし覚束ない足で、甘くて苦い豊穣を抱えた人生の海に泳ぎ出す……
凪野さんの、妖美さと艶やかさの香り立つ、いつもよりすこしだけ「大人」の短編集。(もちろん全年齢対象です)