「わたしたちがお役にたてるでしょうか」「お飾りの妻でいる気もないくせに」閉ざされた竜の国を襲った突然の地震。
未曾有の災害に動揺する王女ナターシュに救いの手を差し伸べたのは、国交のない北王国の王子を名乗る赤毛の男エドワルドだった。
「北の悪魔」と恐れられる国の王子は援助の代償に、飛竜とナターシュの身を要求する。
政略結婚も王族のさだめと受け入れ、次第に心を通わせるナターシュとエドワルド。安住の国を夢見るふたりの前に、竜の国と北王国の王位継承問題が逃れようもなく立ち塞がり――。
政略結婚から始まる恋愛ファンタジー。読み口軽めの少女小説です。
フルカラーカバー、スピン付き。
(カバーイラスト:
Mayo)
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カクヨムにて全文を公開しています。作風や文体の試し読みとしてどうぞ。
◆番外編
「陽炎立つ」(Text-Revolutions公式アンソロジー「海」参加作)はネタバレなしの番外編です。本編の約15年前、海峡群島でだらだら暮らすエドワルドと、我が身の不運を嘆く側仕えリフィジのお話。
◆おなじく番外編、
「ソーダ水の午後」は本編第五章「重波」あたりの時間軸でナターシュとエドワルドがらぶらぶしているだけのお話(折本)です。ネタバレなし、簡単な人物紹介も兼ねているので最初に読んで頂いても大丈夫です。
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お気に入り部分抜粋(ツイッターモーメント)
「#ふぁぼの数だけこれから出す本からお気に入りの一文を晒す」で構ってちゃんした分です。
【バイロン本社からのここがお勧め!】これは戦争の話ではなく、恋の話ではなく、人が「自分の人生に与えられた選択肢に気づく」話だ。
ヒロインは王族であっても、親族結婚による血のゆがみの影響で、特殊な状況にある。自身の出生と、辺境地域に暮らす状況から、王位を意識することはなく、けれど王族の立場から、将来の自由もあまり見込めない……と、ぼんやりと考えている。絶望しているわけではないし、不幸でもない。日々の生活には小さな喜びがあって、信頼できる仲間もいる。
何不自由のない暮らしでありながらも、そこにあるのはたしかに閉塞感だ。さながら、自由に天空を翔るように見えながらも、一定の高度を超えることが難しい、竜の飛翔のように。
そんな王女の日々を、大地震が揺り潰す。王女のいる高山地域には、自国の救援の手がなかなか差し伸べられず、代わりに援助を申し出てきたのは北の国の王子(のひとり)。王子に出会いヒロインの世界は広がり、閉ざされていた心のなかのなにかが解き放たれる……。
国家のあり方、家族のあり方、人を愛する気持ち……オールザットナギノワールド!