こちらのアイテムは2026/5/4(月)開催・文学フリマ東京42にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京42公式Webサイトをご覧ください。

小色文學頻出単語帳

  • 南1-2ホール | R-21〜22 (小説|純文学)
  • こいろぶんがくひんしゅつたんごちょう
  • 小色光
  • 書籍|その他
  • 10ページ
  • 0円
  • https://www.koirohikaru.com/e…






  • 横須賀文學會webサイトで公開中の『小色文學頻出単語帳』から一部抜粋した語彙をフリーペーパーにして配布いたします。用意できないかも南蛮。
    特製しおりは渡せるので、とにかくブース(R21-22)でお待ちしております。


    作品掲載ページ

    https://www.koirohikaru.com/entry/tango



    (本文より抜粋)


    一番大切なこと

     人間は「一番大切なこと」を表現すること、それを他者から表現されることを恐怖する。その恐怖にせき立てられて、人間は別の二次的三次的な物事をかき集めて表現しようとするのであり、他者も一番大切なことに触れないように、それ以外の些末事を見ていようとし、聞いていようとする。

     太陽を直視し続けると眼が潰れる。人間の体はそのようにデザインされているのだ。だから太陽を直視することを避け、距離をとったり、遠回りをしたりする。ところが、稀に太陽を直視し続けることのできる人間が存在する。ごく稀なことだが。


    文學の読者

     視覚に関わるあらゆる造形芸術の鑑賞者とは根本的に異質な芸術の鑑賞者であり別次元の存在である。

     文學は圧倒的に受け手側の創造力クリエイティヴィティが問われる芸術である。受け手の方で能動的に知性とイマジネーションを働かせなければ、ただの文字の羅列からは何ものも生じない。偉大な文學が成立するためには、然るべき知性と感性を備えた偉大な読者の存在が必要であり、そうでなければ偉大な作品も作家も存在しえない。

     あらゆる造形芸術家はイメージを花に育てた状態で受け手に渡す。文學者は読者に種(言葉)だけをわたす。花を咲かせるのは読者自身である。
     あるいは、造形芸術家はその受け手に音楽を演奏して聴かせる。
     文學者は読者に楽譜だけを手渡す。その楽譜の演奏者は読者自身なのだ。

     読んだ文章を「美しい」または「おもしろい」と感じる時、それは作家だけが作り出した体験ではなく、どう少なく見積もっても半分は読者の知性と美的感性の作り出した体験である。したがって、読者は作品のオーディエンスであるよりも遥かに、作品の共同制作者に近い。ここが他の芸術作品の受け手との決定的な差であり、創造性の欠如した怠惰な馬鹿だらけの世間において圧倒的に文學の読者が少ない理由である。

     最も偉大な芸術はどれか、最も偉大な芸術家が誰かを特定することは不可能である。ピカソの絵画はクンデラの小説より偉大かもしれない。フランシス・ベーコンはガルシア・マルケスよりも偉大な芸術家であるかもしれない。だが、芸術の最も偉大な受け手が文學の読者であることは疑いようがない。文學の読者は、自ら動かしている創造的負荷が、他の芸術のオーディエンスども、たとえば動画ばっか観て漫画ばっか読んでる馬鹿どもやアイドルオタクの連中とはケタが違うのだ。

     漫画家も写真家もJポップ歌手もアイドルでさえも、誰もがそれぞれの領域において偉大な表現者でありえる。だが、彼らの芸術を受けとめる鑑賞者の方は怠けて堕落した人間でありえる。だから漫画やアイドルの楽曲は文學よりも圧倒的に売れる。漫画が芸術として圧倒的に優れているからではなく、たんに世間において怠け者の馬鹿どもの数が文學の読者を量的に圧倒しているからである。

     あらゆる芸術家は文學者の足下にひれ伏せ、とまでは言わないが、あらゆる他の芸術表現の「オーディエンス」どもは文學の読者の足下にひれ伏すといい。


    天才

     リップサービスではなく、人間は誰もが必ずなんらかの天才性を備えている。天才と凡才がこの世に別個に存在しているのではなく、「天才性を動かして日々開発している人間」と、「それを動かさずに石化させている人間」の違いがあるだけである。Use it, or lose it. 使わないものは失われてゆく。

     永く孤独な読書人生を歩む間、私は以下の言葉で自分を励ましてきた。すなわち、
    ——天才作家の作品を理解することができるのは天才読者だけである。

ログインしませんか?

「気になる!」ボタンをクリックすると気になる出店者を記録できます。
「気になる!」ボタンを使えるようにするにはログインしてください。