箱の中には魔物が潜んでいる。
室町時代、「鈴御前」という巫女がいて、彼女は常に箱を携えていた。この箱の中には得体のしれぬ何かが棲んでいて、その何かが神託をしていた。
箱の中を見た者はいない。箱に潜むものの正体はわからない。だけど、箱の中から何やら声が聞こえたり、箱に入ったまま酒を飲み干したりしたという。
箱の中には、魔物が潜んでいるらしい。
さて、今回の特集は「匣」、すなわち「箱」である。
自分で書いておいてアレなんだけど、記念すべき十作目の特集がどうして「箱」なのか、思い返してみてもこれがよくわからない。
「箱特集は売れる!」とか、「いま、箱が話題!」とか、「これから箱が流行る!」とか、そんな思いは全くない。
奇をてらってやろうとか、そんな思いは全くない。
ある日突然、箱について考え始め、箱にまつわる不思議な話が次々と集まり、気がついたらもう「箱」で特集を書くことになっていた。
そこに、合理的な理屈なんてない。
「箱の中の魔物」が、僕にこの特集を書かせたとしか思えないのだ。
やはり、箱の中には何かが潜んでいる。
収録記事
・特集「匣」
・民俗学は科学なのか?
・カワノススメ「高崎・烏川の石にまつわるミステリー」