わたしと父は、海辺の小さな村の小高い丘の上に、何十人も住めそうな大きな屋敷を構え、ふたりだけで暮らしている。
年寄りばかりのこの村では、月の満ちる日になると、食べ物を皆で分け合う「御分けの日」が催される。
でも、わたしはその集まりに参加しない。だって、魚の血を飲み交わすなんて、考えただけでも吐き気がするもの。
村人たちはみんな、魚の血で腥い。わたしはこの匂いが好きではないから、村人たちのこともあまり好きではない。わたしの唯一の居場所は、あたたかい父の腕の中だけ。
そう、思っていた。
2024年発行『煙の狼と沼地の主』に登場する、いずこより現れた沼地の怪物「沼地の主」の因果譚。
本作品は単品でもじゅうぶんお楽しみいただけますが、ぜひ『煙の狼〜』と合わせてお読みいただきますとより深く世界観をお楽しみいただけます。
こちらのブースもいかがですか? (β)
イントリンシック・ワースの花束 幻日庵 引算書店 ええんちゃう? 弋 妖茸堂 闇鍋飯店 あまやどり本舗 幻月庵 少女こなごなとMARY JANE