ある人は、「カタツムリが地方ごとに、なんて名前で呼ばれているか」ということを調べていました。どうでもいいことのような気がします。
ある人は、小学生の間で噂される怖~い話を調べていました。悪趣味だと思います。
ある人は、農業に使う、そのへんのごく普通の道具を、せっせと集めていました。何が楽しいのでしょうか。
これ全部、民俗学の研究です。
なんでそんなことしているのでしょうね?
カタツムリの名前なんか調べたって人類は進歩しないし、怖い話を調べたって、人類は平和になりません。
でも、それを伝えてきた人たちの想いに触れる。そんな瞬間があります。
虫の名前も、怖い話も、クワみたいな道具も、生活の一部として、何百年も前から、親から子、そして孫へと大切に受け継がれてきました。
なんてことない生活の歴史をたどってみると、昔の人が何を大切にしていたのか、何を怖がっていたのか、何を想って生きていたのか、そんなことがふと見える瞬間があるのです。
昔の人の「生きること」が知りたくて、虫の名前を調べ、怖い話に耳を澄まし、農具をせっせと集める。そんなヘンな学問の世界を、ちょっとだけ案内します。
収録記事
・特集記事「ところで、民俗学って何?」
・この世とあの都の境目、新宿
・境界の外は死後の世界 ・民俗学と文学
など