「こういうシーンでドキドキせえへんの」
「好きでもない相手としたところで、なんとも思わないよ」
久秀はなんでもないことのように言って、ビールのプルタブを上げひと口飲んだ。そして、ラスティのオレンジ色の髪を優しく撫でる。
「なぁ、キスしてみない?」
「はぁ?」
突然の爆弾発言に、ラスティは素っ頓狂な声を上げる。酔っているのかいないのか、久秀の顔からは読み取れない。いたって普段通りの彼だ。
「アンタ、酔ってんの」
「あー、そうだな。酔ってるよ」
また普段通りの声で言って、撫でていた手を髪から頬に降ろす。ゴツゴツした手のひらの感触に、ラスティの体が跳ねた。久秀の顔が近付いてくる。顎を持ち上げられ、ふにっと柔らかいものが唇に押し当てられた。
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