歌舞伎町にあるキャバクラのボーイと男性アイドルのイチャイチャをつめこんだ1話完結の短編集。
すでに付き合っている状態なのでオトクです!(オトクとは)
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【ナンバーワン】
真っ直ぐ見つめてくる、視線。
「キミが好きだよ」
ボーイさんが低く甘く囁く。骨張った手がおれの頬を撫でた。
店で見るのとは違う顔を見せる彼に、ドキッと胸が高鳴った。
「好きだ」
ウィスパーボイスで囁かれて、カッと顔が熱くなった。
肩に腕を回されて、もう片方の空いた手で太ももを撫でられる。
「ボーイさん」
「ん?」
どうしたの、と見つめてくるボーイさんの顔が見れなくて俯く。
まるでホストみたいだと思う。隣に座ってお酒もおつまみも全部用意してくれて、沢山褒めてくれる。
あの番組のこれが良かったとか、ダンスが上手かったよとか、こうしてちゃんと見てくれるということが途轍もなく嬉しい。
「ミツルくんの顔が見たいのに、俯かれたら見えないだろ? 顔あげてごらん」
口調は優しいけど、少し強引に促されておれは顔を上げる。
そうすると、いい子だねと頭を撫でてくれる。
「俺がミツルくんをナンバーワンにしてあげたいな」
頬やら耳やら色んなところにキスしながら、ボーイさんは嘯く。
まだ駆け出しだし、今の地位は社長が決めた事がそう簡単に覆る筈がない。でも、そのボーイさんの優しさが嬉しい。
ボーイさんの肩に頭を乗せると、また優しく頭を撫でられる。
「おれはボーイさんのナンバーワンじゃないんですか?」
そう言うとボーイさんはクスクス笑って身体を揺すった。
「そうだね、それもそうだ。ミツルくんは俺のナンバーワンだ」
「うれしい」
身体を離してジッと見つめると、ボーイさんに頬を挟まれる。
「アイドルが恋人だなんて夢みたいだね」
「そう、かなぁ」
「そりゃそうだよ。俺なんて若い頃はアイドルとの恋愛を想像したもんだ」
しみじみ呟くボーイさん。
そして照れくさそうに笑って、頬から手を離した。
「そういえばドラマ出るんだっけ? どんなドラマなの?」
新しいお酒を作りながら、ボーイさんは露骨に話を逸らす。
こんなに余裕のある人でも、こんな子供っぽい顔を見せるんだなと思うと、なぜか嬉しくなった。
「恋愛ドラマですよ。と言ってもチョイ役なんですけど」
チョイ役と言ってもセリフはある。主人公のクラスメイトで、恋愛の相談に乗るという役どころだ。
おれには正直勿体ないぐらいの役だけど、これで名前が知られるようになったら嬉しい。
「チョイ役でも仕事があるのは凄いよ。ドラマ絶対に見るからね」
「はい」
嬉しい。
「あー、でもミツルくんが世間に出るのは妬けるなぁ」
「もう世間に出てますよ」
「いや、そういうんじゃないだよなぁ。分かんねぇかなぁ。わかんねぇだろうなぁ」
訳の分からないことをボーイさんは言って、おれにキスをした。
意図を聞く前に、上手く誤魔化された気がする。よく分からないけど、ファンの心理というやつなのだろうか。
おれを抱きしめて頬擦りするボーイさんに応えながら、そんなことを考えた。
「ミツルくん、ドラマに出ても俺のナンバーワンでいてくれるよな」
「当たり前じゃないですか」
分かりきっている事をボーイさんが聞いてきたから、おれは迷うことなく頷く。するとボーイさんは益々相好を崩して、ギューッと強く抱きしめてきた。