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ロシアフォルマリズム 受容論 読者反応論 論文集Ⅳ

  • 第一展示場 | H-06 (評論・研究|出版)
  • ろしあふぉるまりずむ じゅようろん どくしゃはんのうろん ろんぶんしゆうⅣ
  • AKIMOTO
  • 書籍|B6
  • 104ページ
  • 1,980円
  • 2024/2/18(日)発行
  • 文学の講義を聴き、あるいはテストを受け、それらが歴史なのか、伝記物なのか、心理学なのか、度々混乱してしまいました。その都度、文学テクストの言葉を通じて発現する多彩なイメージや香りを黙殺し、作品やジャンルに対する期待値を封印の上、文章芸術を強引に論説に鋳直さなければなりませんでした。

    また、歴史、作家史、政治経済、文化、哲学、心理学、宗教等のコードによる読書は、テクストの一部を拡大・肥大化させがちであり、テクスト全体を丁寧に網羅していないようにも思われました。作品の大宗を占める夥しい数の言葉は、本当に不必要で意味のないものでしょうか。

    その後しばらくして、私と同じように混乱している読者が少なくないことを知りました。もしかすると、限定された解釈のみを正解とする求心的・排他的な読解法・教育法が、多くの読者を国語嫌いにしてきたのかもしれません。

    さて、テクスト理論の先駆けとなったロシアフォルマリズムと出会った時、漸く長いトンネルの出口が見えたような気がしました。ひっそりと目立たない著書、その冒頭でのシクロフスキーの囁きは、まるで進軍ラッパのように聴こえました。「わたしは、文学理論における内的な法則を研究している。紡績工場の場合で言えば、世界の綿花市場やトラスト政策ではなく、糸番号や糸の仕様・性能だけに関心がある。」(ヴィクトル・シクロフスキー1929散文の理論について、フェデラーツィア出版モスクワの前書きПредисловие, Виктор Шкловский, О теории прозы, издательство «Федерация» Москва-1929)図星でした。これをきっかけに、夥しい数の言葉は一見無意味に見えても、意味形成(テーマ構成)を阻害することで、力強く芸術域(超意味相)を形成しているとの弊論に至りました。 

    そこで読解の授業では、テクストの二項対立と等価関係を明確にし、解釈例(意味形成相)を列挙した上で、対立項に仕分できない箇所(超意味相)を洗い出す手法を採用しました。つまり、解釈に向かう箇所と、解釈を拒む超意味に向かう箇所の特定と識別です。これには網羅的な精読が必要であり、若手読者である学生には相当毛嫌いされるだろうと思いましたが、真逆でした。「漸く文学と論説の違いが分かった」「モヤモヤ感がなくなった」という授業評価が多く寄せられました。

    また、対立二項への仕分(解釈)を困難にし、読者を超意味の方角に導く阻害素(同語反復、背景描写、部分描写、異化、空所・不確定箇所・多層化)が読者を惹きつけ、文章芸術の要諦・屋台骨となっていることも分かってきました。表現できない思いや悩みを抱える若者にとって、捉え所のない超意味という観念・概念の理解・受容は、特別なものではないようです。

    解釈を拒む言葉、言葉と言葉がぶつかり合って散る火花、行きつく所のないメタファー、詩性や祈りに向かうもの……。「ゆらぎ」そのもののような超意味に正解はありません。

    グローバリゼーションは、優勝劣敗・弱肉強食の文化を一層加速させつつあります。加えて安全保障環境も悪化しています。物理的に生き残るためには、当然、漠とした超意味より目先の問題解決に役立つ強い意味・解釈が重要視されるでしょう。しかし、それだけでは物事はすぐに沸騰し、煮詰まり、焦げついたり、爆発したりします。

    超意味という「ゾーン」に少し目を向け始めても良いかもしれません。それは特に目新しいものではなく、どこか懐かしく香るものです。読者は、テクストの言葉を通じて発現する多彩なイメージや香りを楽しみながら、既知にもかかわらず言語化不能の時空に向かい始めます。これは、現代の信仰とも言える「効率化」とは相容れない原初的な何ものかです。

    目次

    6 ロシアフォルマリズム(テクスト理論)の 文学作品解釈

    への応用 Применение русского формализма (текстологии) к интерпретации литературных произведений Application of RussianFormalism(Textology)to the interpretation of literary works

    38 超意味相と意味形成相(解釈)との乖離に かかる考察 ~

    蜂飼耳(2008)「ほたるいかに触る」 のテクスト分析及び

    読者反応を通じて~ Рассмотрение расхождения суперсемантической фазы и смыслообразовательной фазы (интерпретация) через анализ текста и реакцию читателей на «Если трогать кольмара-светлячка» Мими Хачикай (2008) Consideration of the discrepancy between the super-semantic phase and the semantic-formation phase (interpretation) through the analysis of the text and the reaction of readers to "If you touch the firefly colmar" by Mimi Khachikai (2008)

    70 文学作品の冒頭文読解(冒頭推釈)と期末テスト成績の

    相関にかかる試論 Эссе о взаимосвязи между пониманием чтения литературного произведения (Введение) и окончательными результатами тестирования An essay on the Correlation between the Reading Comprehension of a Literary Work(Introduction)and the Final Test Results

    102 藤城清治作品とテクストにおける前景と後景Работы Сэйдзи Фудзисиро и соотношение переднего и заднего плана в тексте Seiji Fujishiro's works and the relationship between foreground and background in the text


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