「お邪魔します」と幾度となく通い詰めた場所が、ある日自分の家になった。そして彼氏が、夫になった。これはそんな人生の転換期っぽい出来事に浮かれた私が、これまで住んだ思い出の地や人とのエピソードを振り返ってみたエッセイ集になる。我ながら調子に乗っている。
そんなわけで全体的には恋バナが多めの構成にはなってしまったものの、自己紹介を最初にさせられがちなア行の苦悩や、幼少期の過ちをいまだに両親に笑われるきまり悪さ、そしてスペインでスッポンを使う羽目になった戸惑いなど、トホホとしか言えないような話もたくさん載せたので、どうかお気楽にお読みいただきたい。
本書は家族と住んでいた神奈川県の実家での話を「心もとない実家暮らし」、埼玉県で一人暮らしをしていたころの話を「うららかな一人暮らし」、彼氏の住む東京のアパートに移り住んだ話を「夢うつつの二人暮らし」と三章立てに並べ、さらに番外編としてスペインで陽気なおばあちゃんと二人暮らししていたころの話を収めたものである。
家族と住んでいたころ、一人だったとき、彼氏と暮らし始めたつい最近、そして異国でのホームステイ。どれもそれぞれに愉快で、それぞれに苦しい。そんな思い出話の数々を抱いて、これから先もそれなりに楽しく生きていけたらいいなと思っている。はじめに
心もとない実家暮らし
五十音の支配を抜けて
語り継がれる恥の熱
タイしたもんだよスズキくん
代筆屋の恋
根暗な冒険者
うららかな一人暮らし
こごみとの遭遇
私のヒーローを探して
大人の証
昔話体質
なにごともない町
夢うつつの二人暮らし
オマール婚
「お邪魔します」が「ただいま」になった日
ミッチーの私服
私たちの指輪物語
仲よく見えるふたり (書き下ろし)
独身最後の全裸ビール (書き下ろし)
番外編
ハポンのスッポン (書き下ろし)
青く澄み切った瞳の天使 (ゲスト:戌亥)
推しの本に名を刻んだ女――おわりに (ゲスト:戌亥)
【著者紹介】
つる・るるる
1994 年生まれ、湘南育ち。
従姉との二人暮らしを経て埼玉県で一人暮らしを始め、2021年エッセイ集『春夏秋冬、ビール日和』を刊行。
約7年付き合った彼氏と2022年10月末に結婚し、苗字がア行からナ行になる。
好きな食べ物はぬか漬けとインドカレー、好きな映画は『バーフバリ』。
『きりえや偽本大全』『きりえや偽本シネマ大全』(高木亮 著、現代書館)、『一度寝ただけの女になりたくなかった』「4年経っても、手を出してこない彼氏のことがけっこう好きだ」(純猥談編集部 編、河出書房、講談社により2022年に漫画化)などにエッセイが掲載された。
noteでは、note公式コンテスト #やさしさにふれて 審査員特別賞(春名風花さん) 、ピリカグランプリ すまスパ賞、グリフィンの物語、恋愛×読書コンテスト グランプリ(読キュン賞)などを受賞。
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