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少女文学者・春呼さん 暮れのお便り

  • Fホール(2F) | ウ-65 (小説|SF)
  • しょうじょぶんがくしゃはるこさんくれのおたより
  • 磯崎愛
  • 書籍|A5
  • 0円
  • http://karakusaginga.blog76.f…
  • 2013/1/13(日)発行
  • ※ちょびっと予備がでてきたのでお配りします。(おかげさまで完売しました! どうもありがとうございます。)


    唐草銀河vol.5

     小学四年生のおませな少女・春呼さん、クリスマスとお正月のてんやわんや。
    (少女文学・短編 20頁 コピー本 )


    『少女文学者・春呼さん 暮れのお便り』

     わたし、ただたんに晴れ着がきたいっていっただけなんです。 それがこんな大変なことになるなんて!
     ああ、ごめんなさい。わたしったら、ごあいさつもしないうちにお便りを書きはじめてしまって。
     でも権兵衛(ごんべえ)さん、きいてください。
     もうすぐお正月ですよね。だから叔父にいったのです。新しい年にはきちんとしたかっこうで神社にお参りするっておばあさまに教わったと。
     ごぞんじのように、わたしが叔父の家にひっこして四か月と少したちました。このごろようやくいろいろなことになれてきたと思っていたのです。その、つまり、おたがいのやり方に。
     わたしは親がいなくてずっと祖母とくらしていました。どうもそのせいで少しばかり世間とずれているらしいのです。
     ともかく叔父はそう言います。
     でも、わたし、
     叔父もそうとうずれているとおもうのです!
     ねえ権兵衛さん、わたし、権兵衛さんにだけ告げ口しますけど、叔父はわたしにクリスマスプレゼントを用意してくれなかったのです。
     わたしはもう十歳です。小学校の四年生です。幼稚園生じゃありません。だからサンタさんが来なくてもべつにかまいません。でも、プレゼントはそれとはべつのはなしです。
     じつは、七つのときに、おともだちがこっそり教えてくれたのです。サンタさんのかわりは、お父さんとお母さんなんだそうです。わたしにはじゃあ、サンタさんは来ないってことになります。
     そして、じっさい来ませんでした。
      おことわりしておきますけれど、祖母はちゃんとわたしにクリスマスプレゼントを用意してくれました。毎年とても素敵なものを選んでくれます。すずらんのか たちをしたブローチや雪の結晶みたいにきれいなレースのハンカチ、外国の絵本だったこともあります。どれも全部、わたしのお気に入りです。でも、それをサ ンタさんからだとはいちども言いませんでした。
     わたしは、わたしのところにサンタさんは来ないのだとおもっていました。
     でもべつにいいのです。さみしくはありません。
     サンタさんなんていうひとは、ただプレゼントを運んでくれるというだけの、どこか遠くの国のおひげのおじいさんたちの集まりなのですから。わたしとは関係がありません。
      すこしうらやましいのは、トナカイさんを連れて空を飛べることくらいです。あのソリには特別なしかけがあるのでしょう。NASAか、またはハリウッドが協 力しているのではないかとにらんでいます。わたしとしては、NASAのほうがわくわくするのですが。なので、それはちょっぴり気になります。
     ほんとうにそれだけです。
     あともうひとつ、わたしが気になっていることがあります。
     権兵衛さんにだけおはなしします。ほんとうに、誰にもおはなししたことがないのです。権兵衛さんにだけ、特別ですよ。
     サンタさんというひとたちが、この世のすべてのおうちの「お父さんとお母さん」にこどものためのプレゼントを渡してまわっているおじいさんの集まりだとすると、それにはなにか重大なひみつがあるのではないかとおもうのです。
     もしかすると、わるい宇宙人が変身したすがたではないかと考えると、ねむれなくなってしまうときがあります。わたしがもらったことのないプレゼントには、宇宙人がしかけていったひみつがあったりするのではないでしょうか。



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