――ようこそ、コトノハ舞い散る植物園へ。
ソウブンドウがお贈りするテーマアンソロジー第六弾!
今回のテーマは
「植物×建築」です。「植物」と「建築」で彩られた世界を舞台に、5つの物語が紡がれました。
ソウブンドウメンバーからは空木春宵、神尾アルミ、七木香枝、若本衣織の四名が参加し、また、ゲスト寄稿者として
藤あさや様をお招きしました。
得意ジャンルのまるで異なる五人の作家達は、如何なる建築物を造り上げ、如何なる植物をそこに纏わせたのか、是非、お手に取ってお確かめください!
表紙を飾るのは、
ゲストの
キリコ様による美しいイラスト。目にも鮮やかな色彩と、少女の蠱惑的な貌を目印に、当サークルのブースまで足をお運びいただけたらと願っています。
収録作一覧(掲載順・敬称略)
『アナレンマの黄金樹』 藤あさや(ゲスト)
天へ届く樹木の実在する世界。“世界樹”はニュートン物理の反証となっていた。あまりにも巨大な樹木はどう考えても自らの重さを支えきれないのだ。だが1920年代、一人の青年研究者が世界樹の謎を解いた。ケプラーの法則から導くシンプルな物理モデルによって。青年の語る世界樹の物理をガイドに旅するちょっぴり古風なハードSF。ポール・バーチの軌道リング、宇宙エレベーターに続く新たな宇宙への架け橋を示します。
『世界の終わり、きみとのぼる朝陽を見た』 神尾アルミ
荒廃した未来の空中都市。自分のものを何一つ持つことを許されない、管理された白い世界。植物の保存室を巡回していた男は、ある日不可思議な球体植物に出会う。その植物の中から現れたのは、緑がかった肌を持つ小さな少女だった。
『花食む月』若本衣織
その村では、死体を埋めた土から花が生えてくるという。そして生えてきた花々は、地上に降りてくる月にすべて献上しなければならない。なぜなら月が根こそぎそれを喰らうからだ。家族を失った主人公は、庭に咲き乱れる花を刈りながら何を想う。
『樹想夢記』空木春宵
流星の雨が降り注ぎ、ヒトの文明社会が崩壊してより幾星霜。地上は植物の緑に覆われ、ヒトの姿を模した歩行性肉食樹木「人樹」がそちこちを闊歩している。旧世界の遺跡「塔」に住む自称植物学者の「私」は、女性の身を持つ人樹「樹月」とともに、無為で怠惰な日々を送りつつ、奇妙な植物達との交歓を愉しんでいるが、彼の心には忘れる事のできない罪の蔦が絡み付いていた――。
『いばらゆき』七木香枝
灰色の街の外れに建ついばら屋敷には、獣が棲んでいる。迂闊に近づけばいばらの棘に刺され、あるいは獣に屠られてしまうよ――。そう大人達が諭す囁き声を遠いところで聞きながら、恵実はいばら屋敷に通っている。世界の中心と呼ばれる白い街から〈灰〉の降る街へ放逐された日の夜、差し伸べられた獣の手に手を重ね、彼女はお伽話の内に身を投じた。たとえ、滅びの風が吹こうとも、いばらの揺り籠の奥底で微睡み続けることを願って――。
お試し読み用ファイル
収録各作の冒頭から数ページをお読みいただけるお試し読み用ファイルです。各作品の雰囲気を掴んでいただけるかと思いますので、是非、ダウンロードの上、お読みください。
コチラからどうぞ。