長編小説『その名はカフカ』は二十年以上チェコ共和国に在住する絵描きがネット上で連載している犯罪組織を巡る物語。舞台はチェコの首都プラハを中心とした中央ヨーロッパ、第一巻に収録されている「第一部 Preludium」は2013年11月から2014年5月、「第二部 Kontrapunkt」は2014年5月から7月までの出来事。
主人公のレンカは一見、プラハで小さな事務所を経営する非合法売買の仲買人。しかし、彼女の裏社会においての影響力の及ぶ範囲は中東欧の広範囲に広がっており、なぜ彼女がそのような力を有するのかは、謎に包まれている。そんなレンカを目障りだと付け狙う組織との攻防や、レンカ自身の抱える消化しきれない過去が折り重なってストーリーは展開していく。
第一部で舞台となる国はチェコ、ハンガリー、オーストリア、ドイツ、第二部ではその四ヶ国に加え主にスロヴェニアを中心としたバルカン諸国が中心。各部の冒頭には登場する都市を書き込んだ地図を掲載、本編中では著者自身の手によるペン画の挿絵6点もお楽しみいただけます。そして上記二部の他、そして番外編の「カフカを広げて図書館、秋初め」も収録。あとがきは橘鶫さんに書いていただきました。
スパイ小説やハードボイルドがお好きな方にも、中央ヨーロッパの地理に興味がある方にも楽しんでいただけること請け合いの一冊となっております!