記憶の中にある「青春」
各自が思い浮かべた「X」
二つのテーマを掛け合わせたとき、個性的な物青春語が、そこにはあった。
共通テーマ「青春」と各自が「X」を設定して書き上げた、少し変わった青春小説たちをお楽しみ下さい。
●収録作品●
物樹諒成 青春×インド論理学 「理不尽な論証は中庭の掃除場で」
「宮元君は掃除が面倒である」――掃除の時間に話し掛けてきた同級生・曽野は、そんなことを言い出した。彼女に反論しないと「私の勝ちです」と勝利を宣言される。曽野の意図とは? 論理を探る物語。
明巣 青春×賞味期限 「ビビッド」
このパンもそろそろ賞味期限がまずかったはずだ。三十五歳独身の私と同じ。――浮き足だった季節の中過ごす新鮮味のない日常。ふらりと立ち寄ったダイニングバーで出会ったのは……期限に気づく物語。
山泥膠 青春×漫画 「次回作にご期待ください」
「おい君、学生やろ」――深夜のコンビニ、毎週早売りのジャンプを手に入れて読みふけるのが彼のひそかな楽しみだった。そんな中、声をかけてきた中年男性。二人は打ち解けていく。だらだらと、夢を考える物語。
墓村弘武 青春×墓 「柵(しがらみ)の向こう側」
唯一したいことと言えばルールを守ることだ。――幼くして母親を亡くした化野は、その影響でルールに固執しながら生きていた。墓地で助けてくれたクラスメイト。校則を破る彼女との会話。墓地の中、例外を受け入れる物語。
各自の個性が既にテーマの段階から色濃く出ております、ご興味があった作品があれば是非お手にとって頂ければと思います!