雨に追われるようにタクシーに乗り込むと、見知らぬ女性が当たり前のように座っている。これから何処へ行くのか、と問うと彼女は穏やかに微笑んだ。(さよなら世界)
「もうあの頃には戻れないな」なんて格好つけた言葉がビールを片手に飛び交う。アキは学生時代をふと思い返し、隣で酔いつぶれたミヤと向きなおすことにした。(ライン)
駆け落ちからの入水自殺を図った私達。私が死のう、と言えば君は拒否することなく一緒に付いてきてくれたね。ありがとう、ごめんね。もう大丈夫だから。(生きる)
父とのわだかまりを残しつつ、祖父の古書店を継いだ光樹のもとに一人の幽霊が現れるようになった。少女の幽霊はある本を探しているというが……。(頁)
宇宙ごみ回収業者のわたしはある時、地球という星の生命体まで拾ってしまう。生まれて初めて自分以外の生物を見たわたしは興味本位でそれとコンタクトを取り始める――。表題作『おやすみロケット』を含む、計13篇。