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詩集 人工島の眠り

  • あ-21 (詩歌|俳句・短歌・川柳)→配置図(eventmesh)
  • ししゅう じんこうとうのねむり
  • ゴタンダクニオ
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 52ページ
  • 500円
  • 2023/01/15(日)発行
  • 陸・宙・海に夢を加えた構成で、ほぼ書き下ろしの十篇所収。ゴタンダクニオの七年ぶりの詩集となります。

    (↓作品サンプル)


     球根

    お腹が空いて買い物に出かけたら
    タマネギとまちがえて球根を買ってた
    三百円の眠るひと

    レジで育て方を教えてもらう
    白、青、ピンク、黄色
    ─育てやすい色とかありますか
    ─いいえ、色が違うだけですよ

    ただし気温が十七度になるまでお待ちください、と店員
    ─十七度になるまでどうしたらいいですか
    ─そのへんに転がしておいてください
    キッチンに転がしておいたら、タマネギと駆け落ちしないかな?

    本当に水だけで育つんだろうか
    土がいいなんて言わないだろうか
    枯れたあとのことは考えないほうがいいかな
    別れたあとのことを考えているうちに
    好きな人を取られたことがある

    ─十七度になるまで僕はどうしたらいいですか
    ─部屋の掃除でもしておいてください
    めんどうくさいなあ

    心もとなかったけれど、花屋を追い出され
    球根をつれてそぞろ歩く
    あれがコンビニ あれが犬 あれが赤ん坊
    ふいに川を見せてやりたくなって、三角州(デルタ)へ
    ふたつの川が合わさり、うねり、
    手を取り合って遠い海を目指す
    そこに取り残される、というたぐいのここちよさ

    僕と取り残されてくれるかい、これから来る冬を
    耳をつけてみると小さな寝息が聞こえた
    彼女は眠ってるんだった

    この香りは金木犀 雲の端だけが夕日に染まっている空 あそこにいるのはたぶん恋人たち
    トンビが目を光らせているけれど
    めぼしいものなんてなにもない
    コンビニのコーヒー、読みかけの文庫本、長い眠りの球根と、僕
    目を閉じてもひとりじゃない、ということ

    早く会いたいなあ
    十七度になるまで待てるだろうか
    ─二十度とかで起こしたら機嫌を損ねますか?
    ─カビが生えます
    それは困る

    飢えたトンビが彼女をねらいはじめたので
    紙袋にいれて、そうっと持ち帰る
    犬が鼻面を近づけてきたので追いやった
    金木犀に嫉妬してもいけないな
    金木犀が咲いているうちは起こしちゃいけない気がする

    帰ったら名前を決めよう
    僕の眠り姫
    早く会いたいなあ
    けど、僕はいいかげんお腹が空いた

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