「もっと、もっと多くの師について学ばねばならない」
文殊菩薩にそう言われ、十六歳の少年・善財は旅に出ることになりました。
目指すのは、五十三人の「善知識」――善き師たち。
けれど、その顔ぶれは普通の「先生」とはまるで違います。
僧侶。仙人。王様。商人。詩人。薬師。船長。遊女。
少年少女。そして、神々まで。
年齢も、身分も、生き方も違う人々を訪ね、善財はそのたびに問いかけます。
「どうすれば、すべてのいのちと共に生きていけるのですか?」
これは、仏教の大経典『華厳経』「入法界品」に描かれた、一人の少年が五十三人の師を訪ねて成長していく物語です。
難解な経典の言葉をできるだけ物語の中へ溶かし込み、現代の読み物として再構成しました。
仏教の知識は必要ありません。
ひとりの先生から、ひとつの正解を教わるのではない。
いろいろな人に出会い、迷い、驚きながら、自分の道を見つけていく。
そんな善財くんの長い旅の、ほんの始まりです。
本冊子には、文殊菩薩との出会いから旅立ちを決意するまでの第1話~第4話を収録しています。
<文学フリマ会場にて無料配布します>
WEBマガジン「ホテル暴風雨」にて毎週土曜日連載中。