概要
亡命作家と、絶滅言語の翻訳家
――「存在しない言葉」を届けるふたりの物語
「出版してよ。私が死んだらね」
故人の願いを叶えるため、海を渡るナディア。
遠い島国の山奥の幽霊屋敷に、問題の翻訳家は待っていた。
「ご依頼ですね。
高地アーレンベルク語ですか。
低地アーレンベルク語ですか」
ナディアには馴染み深い言葉だけれど、
この国の人たちは、耳にしたことがないという。
謎の言語を扱う翻訳家の少女と、
母語を物珍しがられることに苛立つ作家。
それでも誰かに届く形へと編み直す行為は、
翻訳なのか――あるいは魂を削る嘘なのか。
関連作品
王の庭師:アーレンベルクより愛をこめて
※いずれも単体でお楽しみいただけますが、
二つの物語は、同じ世界のどこかでつながっています。
著者
ナディア・アーレンベルク〔幻著〕
アーレンベルク北部の狩猟家の町に生まれる。
10歳の時、隣国ヴィッセンへ亡命。
その経緯とアーレンベルク家の歴史を綴った『王の庭師(原題:Gärtner des Königs)』シリーズは
祖国で発行を禁じられ、日本などで出版された。
現在はアデルフィル山地の麓、ノルドアーレン県で物語を紡ぐ。
久利生杏奈 〔幻訳〕紅龍渓谷で古い書庫を営む。
ヴィッセン語、アーレンベルク語、鳳華語など、この世界ではあまり聞き慣れない言語を取り扱う。