本作では評論家・三浦雅士さんの批評活動を多角的に分析します。三浦さんのユニークな点は、編集者としての手腕や独自の文体を駆使し、科学、文学、哲学を横断する「文明批評」を展開したことにあると言えます。
三浦さんは「自分が死ぬこと」への恐怖を考え抜き、それが言語の発生に拠るものだと論じました。
また、編集後記、書評、文庫解説の執筆を通じて「批評的散文詩」ともいえる独自のスタイルを確立したと著者は述べます。
特に注目すべきは、彼と小林秀雄の関係です。三浦さんにとって、小林を乗り越えるべき「父」とも言いうる存在であり、その影響から抜け出すことができません。小林の批評の核にあった「放心と凝視」というテーマは、中原中也の詩や現代文学における「幽霊」の表現と結びつき、言語が作り出す「虚構」と、そこから生まれる人間の「孤独」を深く探求していると言えます。最終的に、小林秀雄が問いかけた普遍的なテーマは、今なお批評の根幹をなすものであり、我々にとっての、乗り越えるべき巨大な壁として立ち塞がっています。
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