(本文より)桃は、式神なのに自分の意思を持っている。
術者が作った形を借りて具現化し、使役が終わったら依り代に戻るか消滅する…わけではない。桃はずっと、形を保ち、さらには主である陰陽師に恋をしているのだ。 厳密に言えば、現在の主の息子に、であるが
(本文より)
しばし桃が考えていると、ふいっと目の前を小さな悪鬼が横切った。 ほとんど力を持たないそれを桃は軽く両手のひらで包み、そっと開く。すると、そこから現れたのは可憐な桃の花である。 「来世では、悪さをしないようにね」 花はそのまま風に乗り、やがて消えた。
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