こちらのアイテムは2022/11/20(日)開催・文学フリマ東京35にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京35公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

透明なリボンで結んで

  • 第一展示場 | O-24 (小説|児童文学・絵本)
  • とうめいなりぼんでむすんで
  • 今鹿
  • 書籍|A4
  • 28ページ
  • 300円
  • https://note.com/imashika/n/n…
  • 桜舞う4月。入学式へ向かう新入生の花純はバスの車窓から見えたひとりの少女に目を奪われる。
    ――なんて綺麗な子なんだろう――
    陽射し輝く5月。体育館では球技大会が行われている。観戦していた潔子はコートを駆けるある少女から目が離せない。
    ――なんて眩しい子なんだろう――
    別々の高校に通う花純と潔子。それぞれの視点で綴る4か月の物語。

    【本文抜粋】
    彼女の手は、文庫本を持つためにある。
    ほっそりと長い指が本の背に沿って回り込み、親指は優しく表紙を支えている。そんなありふれた仕草からわたしは目が離せなかった。
     四月。入学式へ向かうバスでのことだ。
     急勾配を上るバスの窓から平凡な団地と桜並木を眺めていた。コンクリートの建物が道路を挟んでドミノみたいに並んでいる。わたしが生まれるより前から立っているであろう棟々はすっかりくたびれていて、洗濯物のかかったベランダが三分の一ほど。ほかはおそらく空室だ。
    (中略)
    その子は目に見えない透明なヴェールを纏っていた。歩くたびにヴェールが揺れて空気がまたたく。
    まるでヴェールの裾からほつれた糸が心臓に絡みついたように、目が離せなかった。
     それからわたしは毎朝彼女を探してしまう。

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