こちらのアイテムは2022/11/20(日)開催・文学フリマ東京35にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京35公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

【新刊】夜を掬う 〜クロスデルタ旅行記〜

  • 第一展示場 | P-38 (小説|短編・掌編・ショートショート)
  • よるをすくう くろすでるたりょこうき
  • 燐果
  • 書籍|B6
  • 500円
  • 2022/11/20(日)発行
  • 【ポストアポカリプス世界の旅行記】

    世界を二分して起きた戦争は百年続き、人類は絶滅の危機に。

    代理兵士として戦っていた「AI・ロボット」と「キメラ」たちは停戦調停の末に人類を保護し、晴れて自分たちが主役となって道を歩むことになった……。


    綴込表紙を使用した、旅行記仕立ての掌編集。

    以降のイベントでは、頒布形式を選べます

    ①本文追加分のみ

    ②欲しい本文のみ

    ③表紙 + 発行済〜最新本文



    * * *サンプル* * *


    #EUR、心やすらぐ風景

     トレイルというこの高速道路は、旧世界で北欧と呼ばれていた地域から、現在ARsの管理下にあるEURを抜けアラビア半島の最南端へ向かう、一本道である。高速道路、といってもきれいに舗装された道路だけではなく、ビークルたちが踏み均した道だ。以前にも利用したことがあったが、山を超え谷を渡るトレイル(けものみち)であるので、レンタルしたビークルが古い場合などでサスペンションがひどいと、かなり揺れた経験もある。ほとんど揺れを感じない今回は幸運だった。

     半球形のビークルは、4人まで乗れる搭乗席の360度が強化ガラス張りで、周囲の景色を楽しむことができる。特にEUR(このあたり)は黒々と光るソーラーパネルが延々と続き、時おり白い大きな風車が、一身に風を受けて回っている。地下にARsの巨大なサーバーセンターがあり、設置されている一万台の量子コンピュータは多くの電力供給を必要とするのだ。

     戦争によって破壊・汚染された土地を有効活用する目的で並べられたソーラーパネルは、やはりロボットによりメンテナンスされている。キラキラと太陽を照り返す、見渡す限りのソーラーパネル群は、我々ARsにとっては、いわゆる「気持ちがホッとする」平和の象徴である。(『はじめに』より)

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