こちらのアイテムは2022/11/20(日)開催・文学フリマ東京35にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京35公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

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  • 第一展示場 | K-36 (小説|恋愛)
  • びー・おーぷん・うぃず・ゆー
  • 深々深
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 100ページ
  • 500円
  • 2021/11/23(火)発行
  • 人間と人外との抗争が、双方の消耗により冷戦状態に入って二十年。
    中立派の図書館に、一人の混ざり仔の少女がたどり着いた。
    少女の鬼種の血である角は折れ、少女の人間の血である華奢な体は傷だらけ。
    少女を抱き上げたのは、透明人間の図書館長。
    彼もまた、逃げ出してきたひとだった。

    これは、図書館の中で、ひとびとが、生きることを肯定される物語。

    ------【サンプル】-------

    「私、混ざり仔なの。父が鬼で、母が人間」

    「ああ、それで」

     体を拭いたときに見た、アザと火傷。おそらく、迫害の痕。それに加えて、人の社会に混ざるために角を折って、髪や帽子で隠していたのだろう。

    「母が亡くなって……親子で、住み込みで家事手伝いをしてたんですけど、もうそこにはいられなくて」

    「ここに着いてよかった。どこを目指してたの? 体調が良くなったら送っていくよ」

    「どこでも、よかったの。痛いことされない場所なら」

    「じゃあ、行きたいところができるまでここにいる?」

    「……いいの?」

    「きみが、他のひとに迷惑をかけないならね」

    「私、存在自体が迷惑だ……」

    「そうじゃないんだ! ごめんね、そんなつもりで言ったんじゃない」

     ユールツキンは透明な瞳で少女の顔を覗き込んだ。

    「きみは図書館の中で走らない?」

    「うん」

    「本を破いたりは?」

    「しない」

    「他のひとに乱暴しない?」

    「もちろん」

    「じゃあ大丈夫」

     ユールツキンは笑って腕を広げた。

     

    「図書館とぼくは、きみを歓迎するよ」


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