短編・掌編小説集の第4作で、11のストーリー(約12万文字)で構成されている。そのうち、分冊版の上巻(本作)には短編小説を中心に7作品を収録した。
書名の由来は、しあわせをテーマにした作品を集めたということと、制作しているのがそよ風文芸食堂であることから、料理(文芸作品)を詰め合わせたもの(ランチボックス)で『しあわせランチボックス』となった。
また、号数は『ランチボックス』に関連して『第四食』となっている。
第四食のキャッチコピーは『しあわせはすぐそばに……』。
『サイフォン』
女子中学生の陽菜は、同じ団地に住む男子大学生の北斗に恋をしていた。陽菜はいつも北斗に勉強を見てもらうなど、ほのぼのとした時間が流れていく。
そんなある冬の日、陽菜は成績が上がったご褒美として、遊園地へ連れていって欲しいと北斗にお願いをするのだが……。
初恋と悔恨、甘くてほろ苦い恋愛ストーリー。
『切られた桜と切れない想い』
高校生の仙道隼人(せんどう はやと)は、幼いころに桜の木の下で女の子と再会の約束をした。だが、その桜の木は道路整備によって十年前に伐採され、今は跡形もなくなっている。もはや約束を果たせないままになり、彼はそのことを引き摺ったまま日々を過ごしていた。
そんなある日、隼人は悪友の大橋巧(おおはし たくみ)と本田真智(ほんだ まち)から、木が伐採される直前に苗木が別の場所へ植えられたという話を聞く。
――もしかしたら、そこへ行けば女の子と再会できるかもしれない。
そんな微かな期待を抱いた隼人は、その桜を探そうとするのだが……。
無垢な想いが重なり紡ぐ、ほんわか純愛ストーリー!
『秘めた想いは偽りとともに』
ややルーズな性格でガッシリした体格の統吾(とうご)、真面目な性格で中学生のように小さな体格のツカサ。性格も体格も大きく異なるふたりは、同じ喫茶店でバイトをしている親友同士だった。
ある日、ツカサは妹の美夏紗(みかさ)を統吾に紹介し、デートしてみないかと誘う。特に予定がなかった統吾はそれを了承し、一緒に出かけることとなる。
だが、そのデートでは予想だにしない事態が起こり……。
――変わらぬ想いと真実が、新たな想いを紡ぎ出す! 秘密だらけの甘々純愛ストーリー!!
『命の半分』
中年サラリーマンの福岡公一(ふくおかこういち)は、自ら命を絶とうとしていた。最愛の妻と娘を突如として失い、その直後に勤めていた会社は倒産。再就職のメドは立たず、マイホームのローンも残っていて、もはや生きていく気力を失ったからだ。
死を決意し、列車に飛び込もうとホームに立った公一。だがその時、思いも寄らない事態が起きて……。
『ひとりぼっちの文化祭』
高校二年の水鈴藍(みすずあい)は同じ高校に通うメンバーで構成された『ファイブライン』というバンドに所属し、ボーカルを担当。彼らは文化祭のステージで演奏をするため、日々の練習に励んでいた。
だが、文化祭まであと一週間に迫った時、とある出来事をきっかけに藍はバンドから抜けざるを得なくなってしまう。そのショックでほかのメンバーたちも思うように演奏が出来なくなり、そのままの状態で文化祭当日を迎えることとなった。
彼らのステージが気になった藍は、ひとりでこっそりと様子を見に行くのだが……。
目頭を熱くさせる、友情と感動にあふれた青春ストーリー!
『幼馴染依存症』
高校二年の早見拓郎(はやみたくろう)は、幼馴染の椎久千津(しいくちづ)の家で夏休みの宿題を写させてもらっていた。千津は幼い頃から拓郎にベッタリで、半ば彼に依存するような状態となっている。
宿題が終わり、休憩をしていた拓郎に千津はアルバムを見せる。それをきっかけに、事態は思わぬ方向へと動き出すこととなる。
ほのぼの恋愛物語? いいえ、夏ならではの涼しげストーリー……。
『永遠のトモダチ』
ある日、高校生の沙東翔(さとうしょう)は自身の参加しているSNSに謎のメッセージを受信した。そこに書かれていたのは『トモダチになってくれませんか?』というお願い。彼は気まぐれにその相手であるレイとやり取りを始めることにする。
当初は警戒していた翔だったが、ある事件をきっかけに気持ちが変化していく。そしてふたりの強い絆は、全ての運命を大きく動かすことに!
SNSが生んだ『トモダチ』によって巻き起こされる、友情と悲劇……。
・本文モノクロ90ページ/右開き/縦書き/2段組
・収録作品のジャンルは青春、友情、恋愛、その他などです。
・ ホームページにて立ち読みが可能です。(※準備中です)