【収録作品】
・名前も知らない物語(前)
(作者の意向によりあらすじは割愛します)
・1988(仮)
二度と帰らないと誓った故郷に帰ってきた。先生への苦い恋心が潜む、高校の淡い思い出が残るこの街に。私の住んでいた高校では『光流し』と『影落とし』という二つの行事が催される。「そうだよ。私、もう二十歳だ」
・ヒヨコノクニ
幼いころに飼っていたひよざえもんが私の目の前に現れる。とっくに死んでしまったはずなのに。「この国はこれより、ヒヨコノクニとなる」と。かくして、人類とヒヨコによる壮絶な覇権争いが始まった。始まる、かもしれない
・ジュゴンの泳ぐ庭
私の住む街の水族館では国内で唯一、ジュゴンが飼育されていた。彼の家族が経営するその水族館が潰れて一年が経つ今日、私は彼の家の跡地を訪れた。そこで待っていたのは、亡くなったはずのジュゴンが庭で泳いでいる光景だった
・橙から群青
彼女である千月が失踪してから一年が過ぎようとしていた日、明石は忘れ形見の百人一首に違和感を覚える。千月の好きだった絵札が一枚なくなっていた。『忘れじの 行く末までは 難ければ 今日を限りの 命ともがな』。なくなった一首に込められた意味とは
・少女水槽
飼い猫である姫百合が水槽の中の金魚を捕食していた。その光景がとても美味しそうに思えて、私も姫百合を倣うように残りの金魚を口に含む。それからである。私の体が透明になり、さながら水槽のようになったのは
・古代魚の瞼
その昔、増えすぎた人類を海の底に移住させる計画があった。それから数年後、レコード型の機械が星見海岸に打ち上げられる。データを解析すると海の底からのメッセージが録音されていた。私達は遥か昔の、古代魚達の声を探す旅に出た
・祈りの森が沈むとき
行方不明になった姉を探しに私は人形島を訪れた。そこで私は人形技師である蘭丸さんと、住居人である時子と出会う。廃島を巡るにつれて次第に明かされていく秘密と姉の行方。祈りの森が沈むとき、最も切ない真実が待ち受けていた
・私がまだ神様だったころ
夏休みが始まる少し前、女の子が転校してきた。他の人には無粋な態度を決め込む中、彼女は私にだけとやかくかまってきた。「私は昔、神様だったんだ」と話す彼女には秘密があった。そして、二百年に一度の満月が接近するとき、静かに物語が動き出す
・名前も知らない物語(後)
(作者の意向によりあらすじは割愛します)
現代日本を舞台にした、連作短編です
不思議で、繊細で、透明で、感傷的な物語を綴りました
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