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旅行者迦太

  • て-21〜22 (小説|海外文学・翻訳)
  • りょこうしゃ・かたい
  • VON
  • 書籍|A5
  • 220ページ
  • 1,870円
  • https://www.vonverse.world/bo…
  • 2027/1/7(木)発行
  • 『旅行者迦太』は、近年のSF作品の中でも極めて特異な位置に存在する作品である。

    壮大な宇宙文明や激烈な戦争を描く物語ではない。読者を次々と押し寄せる展開で惹きつける作品でもない。

    ただ二人の旅人が、崩壊した世界を歩き続ける。

    その静けさこそが、本作の核となっている。

    終末世界を描いた作品は数多い。コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』や、ピーター・ワッツ『ブラインドサイト』を想起させる部分もあるだろう。

    しかし『旅行者迦太』は、それらの系譜に属しながらも異なる。

    本作が見つめるのは文明の滅亡そのものではない。

    滅亡のさらに先にある沈黙である。

    世界の構造は示される。

    だが、それは読者に安心を与えるためではない。

    むしろ広大な宇宙の輪郭だけを残し、その内部を意図的に空白として開いている。

    読者は説明を与えられるのではなく、その空白と向き合うことになる。

    これは救世主の物語ではない。

    復讐譚でもない。

    英雄が世界を変える物語でもない。

    『旅行者迦太』が描くのは探求である。

    しかし、その探求の先に待つのは明快な答えではない。

    理解へ近づくほど、世界はさらに深い沈黙を露わにしていく。

    明確な解決と達成感を求める物語ではない。

    それでもなお、読み終えた後に長く心へ残り続ける作品である。

    もし多くの物語を読み、時折「物語に本当に意味はあるのか」と考えることがあるなら、

    『旅行者迦太』は立ち止まる価値があるかもしれない。

    意図的に空白にされた廃墟の大地に足を踏み入れ、

    風の音に運ばれる残響を、耳を澄ませて聴いてみてほしい。



    本作は『未燼書 × 旅行者迦太』を構成するもう一つの物語であり、

    もう一つの視点から世界の深層へと迫る独立作品である。

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