たとえ、あなたがいなくても、私の心臓は動き続けます。
でも、あなたがいなければ、私の心は、二度と動かない。
【あらすじ】
建設されてから、どれくらいの年月が経ったのか。
もう誰も知らない、老朽化した地下都市があった。
人々は、階級ごとに定められた階層で暮らしている。
その最下級の居住区で、始末屋として生きるひとりの少女がいた。
ある日、少女のもとへ、地下都市を統括する《公社》を追われた研究員の男を指定場所まで送り届けろという依頼が舞い込んでくる。
淡々と仕事をこなす少女だったが、途中、少女は見たことのない『機械の化け物』に襲われ、瀕死の重傷を負う。
そこへ現れたのは、不気味な防護服に身を包んだ人間たち。
その中で、ひとりだけ、防護服をまとわない青年がいた。
青年は静かに尋ねる。「おまえは、俺が、おまえを生かすことを許すか」――
老朽化した地下都市を舞台に、人間兵器として戦う青年と少女の物語。
心の在り処を探す退廃的SF小説です。
※この本は、2013年に発表した作品を加筆修正した新装版です。
【試し読み】