人が暮らしている街には、ネズミたちもひっそりと暮らしています。
彼らはドブネズミと呼ばれ、人間たちにはあまり歓迎されない存在、どころか嫌われ者です。
そんなネズミたちに興味をもって、彼らの日常のさまざまな姿を記録し続けた一人の写真家がいます。
それがこの写真集の著者である原啓義さんです。
原さんが撮影した街ネズミの写真は、高く評価され、2021年度第46回伊奈信男賞を受賞しています。
原さんは、カメラを手に東京の繁華街を巡り歩き、あるがまま、ありのままの、ネズミたちの姿を撮影してきました。
そのネズミたちの姿は、「えっ、これはヤラセじゃないの?」と思うほど、愛らしかったり、滑稽だったり、まさに目からウロコの連続です。
何の飾りも作為もなく、日々を自然体で生きるネズミたちの日常をこれほどの情熱と好奇心をもって記録した写真家は、おそらく、他にはいないでしょう。
この写真集に登場するのは、銀座・上野・池袋・新宿・渋谷のネズミたちです。
彼らは特別なネズミではなく、ただのドブネズミですが、一匹一匹が、日々を必死に、捨て身で生きています。
そんなネズミたちの存在を肯定も否定もせずに、ひたすら観察し、撮影し続けた原さんの、初の本格的な写真集がこの『まちのねにすむ』です。
本作は第8回写真出版賞の大賞受賞作です。
編集者からのコメント
子どもはやわらかな心で、大人は少し柔軟性を失った心で、この写真集のページをめくることでしょう。
ネズミたちの姿から何を感じ、何を思うかは、きっと、人それぞれ。
誰もが、真っ白な心でネズミたちに出会っていただければ、幸いです。