――愛する人を、もう一度手放せるだろうか。
五年前。
日影は、異界へ迷い込んだ少女・透子を現世へ帰した。
彼女の未来を閉ざさないため。
愛してしまったからこそ、離れることを選んだ。
けれど五年後。
透子は再び、異界へ足を踏み入れる。
今度は誰かに連れられてではない。
自分自身の意志で。
「ひとりにしないで」
幼い日に交わした願いと約束。
その言葉の先で、日影と透子が選ぶ未来とは――。
一方、異界から帰還したもう一人の少女・澄香は、現世で自分自身の人生を選び直していく。
異界へ向かう少女と、現実を歩き出す少女。
二人の少女が、それぞれの「居場所」を探していく物語です。
愛すること。
手放すこと。
誰かと共に歩くこと。
そして、自分自身のために生きること。
本編『日陰を歩みて影を踏む』と、その後日談『日向を歩みて影と寄る』を収録。
異界と現世、二つの場所を行き来しながら、登場人物たちがそれぞれの人生を選び取っていく、現代ファンタジー×異界譚です。