――俺、嫌だよ。王になんてなりたくない。
王立士官学校で歴史学を教える教官職に就いているユージン・コレットは、2年前に入学してきた姉の子であるアゼルを見守りながら穏やかな生活を送っていた。
期末試験も終わった頃、王都で行われる葬儀にアゼルと共に出席する事になる。
現国王の弟の子である甥と、一般市民である叔父。
身分立場は違えども親族として過ごしてきたふたりは、王都までの小さな旅に出る。
その旅が、人生を大きく変える事になるなんて……夢にも思わずに。
空・海・大地、それぞれの母たる三人の女神が作り出したと伝えられる世界。
王と騎士と魔術師と……女神の僕である精霊が暮らす世界の物語。
女神の伝承が伝わる世界で生きる人達を語る物語、その序章。