こちらのアイテムは2014/5/5(月)開催・第十八回文学フリマにて入手できます。
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筆業師の書架「天の本」

  • Eホール(1F) | D-65 (小説|ファンタジー・幻想文学)
  • ふでわざしのしょか てんのほん
  • 時幸 空
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 100円
  • http://nanos.jp/soratokiyuki/
  • 2014/3/16(日)発行
  • 古書店『千年堂』の六代目見習い店主の少年と、あやかしの類いとなった古書店の本たちの物語。現代妖怪ファンタジー。

     僕の家は代々、古本屋を営んでいる。  店名は名字をとって「千年堂」という。  店主は僕のおじいちゃん、千年一花(ちとせいちか)。五代目だ。  千年堂は東京の片隅にある。あと少しで神奈川県だから、文字どおり片隅。  駅の周囲にちまちまと店があるだけの小さな町だ。でも緑だけはやたらと多い。街を二つに分けるように、渓谷がうねうねと走っているからだ。  その渓谷ときたら、夜に覗き込むとまったく底が見えない暗闇に沈み込む。小さな橋の上から、いくら目を凝らしても本当に何も見えない。真の暗闇を味わえる場所だ。  渓谷を挟んで、駅側は店があって反対側は住宅街になっている。その閑静な住宅街の中に、千年堂はさらにひっそりと佇んでいる。  訪れる客は少ない。  たまにやってくる客は、ひどく青ざめて慌てているか、きょどきょどしているか、大抵はそのどちらかだ。  千年堂が本を売ることは、ほとんどない。店の書棚にはいろんなジャンルの本がぎっしりと並んでいるが、千年堂を知っている者ならば誰も欲しいとは思わないだろう。  なぜなら、うちが扱うのは、いわゆる「いわく付き」の本だからだ。  人に愛され大切にされた道具たちは、百年の時を経ると魂が宿り付喪神になると言われている。  それと似たような現象は本にも起きる。  本は、その持ち主の心を感じ取り、やがて意識を持ち始めるのだ。  意識を持って覚醒した本は、人の言葉を語る。大抵は語るだけだが、時には動き出すこともある。  本が語っても、普通の人たちにその声は届かない。幽霊が見える見えないのと一緒だ。でも感受性が強い人は別。本がしゃべれば、普通の人は怖いし、呪われていると思うかもしれない。そんな本と出会い困った持ち主が、神社やネットの口コミでうちの存在を知り、本を持ち込んでくる。  そして、ぼくたち千年家の血を引く者たちは、本の囁きを聴き、本を封じる、筆技師なのだ。

    (続きは本で! よろしくお願いします)

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