すべての映画評もいつか滅ぶ
前回、敢行したZINE『絶滅危惧種映画たち』では、すべての映画はいつかは観る手段が絶たれうる“絶滅危惧種映画”であると論じた。刊行後、その絶滅危険性は映画評にもあてはまることに気づいた。映画が発信手段を変えていったように、論じる場も変わりゆく。新聞、雑誌、単行本、パンフレット、フリーペーパー、ラジオ、テレビ、WEBサイト、SNS、配信番組etc……。国立国会図書館に収蔵される書籍ならまだしも、その他は発行元が永続的に保管し続けることは難しいし、WEBメディアであっても永遠ではない。淀川長治や水野晴郎らによる映画番組の解説もすべてが録画テープやデータが残されてはいまい。筆者ごときの例でも、過去に雑誌で発表したコラムの一部は原稿ファイルがどこかにいってしまったし、雑誌自体も休刊していたりする。映画評もひとつの表現であり作品であるなら、映画と同様に“残すこと”をもっと真剣に考えていく必要がある。
以前、東京の国立映画アーカイブで「映画雑誌の秘かな愉しみ」なる展示企画が行われ、明治時代発行の「活動写真界」や「キネマ旬報」創刊号などの貴重な日本の映画雑誌が展示された。こういった企画は今後も実施していくべきだし、ここからこぼれ落ちる映画評も保存、研究していかなければ。そこには学生時代、誰に見せるでもなく書いた“映画ノート”だって含めていい(筆者も書いていた。捨ててしまったのが惜しい)。
今回、筆者が過去に発表したものや没のものも含め、その一部を公開させていただく(本書のための書き下ろしもあり)。お楽しみくだされば幸いだ。
【概要】
映画評の保存を強く訴える映画評論集!
文字数:約57000文字
【作品紹介】
◇【映画評】『ワイルドハート/遥かなる荒野へ』
スーパースター郷ひろみが見せる! 流暢な郷の生の英語が聞けるのは本作だけ! 西部に炸裂する必殺のカラテアクション!
◇【映画評】『天使行動』
「ヒデキさんなら大丈夫! できるよ!」スーパースター西城秀樹が決死の覚悟で危険スタントに挑んだ、最初で最後の香港映画出演作!
◇【映画評】『微熱 MY LOVE』
新御三家のひとり野口五郎の魅力にあふれた、村生ミオ原作のトレンディ恋物語。日本バレーボール協会会長を務める川合俊一の弟も出てるぞ。
◇【映画評】『THE BATMAN-ザ・バットマンー』
キスが示す、人間ブルース・ウェインの未熟さ。
◇【ゲーム評】『バットマン リターンズ』
バットマンゲームの最高峰は16ビットガチボコアクション!
◇【コミック評】『ヒットマン』
ゴッサムシティの底辺を這いつくばる、二流・三流ヒーローたちの物語。
◇【映画評】『ORLIK』
暗黒の未来社会で、うだつのあがらないシネマ野郎が負け犬の遠吠えを吹く。AIにはできねえ、戦場に咲き乱れるイカれた映画づくりの旅!
◇【映画コラム】『ソナチネ』AI映画評論の試み
『ソナチネ』や柳沢慎吾をAIはどう解析するのか。近い将来、映画ライターはお役ご免?
◇【映画コラム】『スノーピアサー』『ティングラー』『JM』映画の多様な楽しみ方
最適な映画環境が存在するなら、それはいかなるものか。
◇【映画コラム】『スウィートホーム』ゲームと映画、共に苦境に立たされた娯楽たち
ゲームと映画が手を取り合うとき、新しい未来が見えてくる。
◇【映画コラム】『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章』とユニバース作品あれこれ
猫も杓子もユニバースな昨今。成功するユニバースの定義とは?
◇【映画コラム】リメイク版『死霊のはらわた』に思う、映画との幸せな接し方
未知こそが映画体験をより面白くするのかもしれない。
◇【映画祭ルポ】「カナザワ映画祭2016」『最後のサムライ ザ・チャレンジ』『ビリー・ジーンの伝説』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』和太鼓野外上映
これが最終興行! 見事に狂い咲いた、狂乱の9日間!