シリーズ第1巻。舞台は、ゴールデンウィークの埼玉県加須市(かぞし)。
四六判224ページ/総ルビ(すべての漢字にふりがな付き)
「言葉じゃなく、このパッドなら世界と繋がれる。」
東京から加須市に引っ越してきた、小学5年生の海堂悠人(かいどう ゆうと)。人と話すのが苦手な悠人にとって、父から渡された試作品「デジタル・スケッチパッド」だけが、世界を記録し、繋がるための唯一の武器だった。
退屈だと思っていた田舎町での日常は、地元を愛するクラスメイト・野口穂乃香(のぐち ほのか)との出会いで一変する。
彼女の祖父である鯉のぼり職人・野口健三が遺した、古い設計図。そこには、悠人のパッドでしか読み取れない《消えた線》が描かれていた――。
◆ 取り壊しは、五月九日の朝九時 ◆
その暗号が指し示す廃ビル「記憶の館」は、取り壊しが決まっていた。
悠人の観察と論理、穂乃香の地域の記憶。正反対の二人がバディを組んだとき、四十年前に消された街の秘密が動き出す。
「技術は、人の心を証明するためにある」
失われゆく街の誇(たから)りを前に、論理(デジタル)と感情(アナログ)は手を取り合えるのか。
埼玉・群馬・栃木が一点で交わる「三県境」から、「ジャンボ鯉のぼり」と「手打ちうどん」の町へ。記憶をたどる、五月の物語。
三県境(さんけんきょう)の井戸(いど)から、水脈(すいみゃく)は記憶(きおく)の館(やかた)へつながっていた。
本文はすべてこの調子です。文字は小学校中学年から読めます。心情を深く描く物語なので、内容は読書に慣れたお子さん(小学校高学年)から大人まで。親子で一緒に読むのにも向いています。
読み終えたら、その場所を実際に歩けます。全10巻構想の連作、その第1巻です。