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古事記に秘められた聖地・神社の謎

  • 南3-4ホール | ね-07〜08 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
  • こじきにひめられたせいち・じんじゃのなぞ
  • 三橋 健(編集)
  • 書籍|新書判
  • 240ページ
  • 1,300円
  • https://amzn.to/4ddpYdm
  • 太安万侶没後1300年! ゆかりの神社から浮かび上がる『古事記』の謎

    日本の神話・文化・歴史の源泉となっている『古事記』。
    そこには神話・伝説の舞台として、日本のさまざまな土地が登場する。
    その記述は必ずしも史実に則ったものとは考えられていないが、
    日本各地に点在する『古事記』神話・伝説の伝承地・故地とされている土地には、
    しばしば古い神社が鎮座し、
    古墳時代・弥生時代にさかのぼる古墳や遺跡が見つかっている場所も多い。
    つまり、それぞれの伝承地は、
    伝承地となるに足る理由と由緒をそれなりに有しているのだ。
    本書は『古事記』の編纂者である太安万侶が
    没後1300年を迎え注目されるなか
    『古事記』を読み解くうえでキーワードとなる
    地域や聖地を30ほどピックアップし、
    それぞれについてゆかりの神社や聖地・史跡を紹介するもの。

    <本書で取り上げる舞台>
    ○高天原――日本各地に残る高天原伝承を探る(奈良の高天彦神社など)
    ○オノコロ嶋――淡路島のイザナミ・イザナキ信仰について(伊弉諾神宮など)
    ○黄泉国と黄泉比良坂――出雲に残る黄泉国伝承(揖夜神社、猪目洞窟、比婆山神社など)
    ○天岩戸――日本各地の「天岩戸」とゆかりの古社(全国の天岩戸神社)
    ○出雲――出雲神話ゆかりの古社・聖地(船通山、八重垣神社、出雲大社など)
    ○諏訪――タケミナカタの逃避先(諏訪大社)
    ○高千穂――天孫降臨の聖地(高千穂神社、霧島神宮など)
    ○海神宮――海幸・山幸伝説の深層(青島、西都原古墳など)
    ○神武東征――東征の足跡に残る古社(宮崎神宮、多家神社など)
    ○三輪山――オオモノヌシと神祭りの謎(大神神社など)
    ○ヤマトタケルと東国――東国に残るヤマトタケル伝承地とゆかりの神社について
    ○神功皇后と九州――九州に残る古代天皇がらみの伝承地・古社について。また新羅征討についても
    ○アメノヒボコの謎――渡来人系の神社について(出石神社など)
    ○葛城――雄略天皇とヒトコトヌシの謎(葛城の古社)


    【本書の目次】
    第1章 神話を歩くⅠ
     コラム 『古事記』成立年の謎
    第2章 神話を歩くⅡ
     コラム 常世国とはどこか
    第3章 古代天皇の足跡Ⅰ
     コラム 『古事記』と伊勢神宮の謎
    第4章 古代天皇の足跡Ⅱ
     コラム 「天香山」はなぜ低山なのか

    「はじめに」より――
    『古事記』には「序」がある。そこに天武天皇は諸家に伝わる帝紀および旧辞に虚偽が加えられていることを嘆かれ、これを正して天皇政治の基礎を固めようとされ、聡明な稗田阿礼に誦み習わせなさったと記してある。しかしながら、この時の天皇の発意は完成しなかった。時世が移り変わり、和銅4年(711)9月18日、元明天皇は太安万侶に「稗田阿礼の誦むところの旧辞を撰録して献上せよ」と仰せられた。安万侶は上古の言葉をどのような文字に表したらよいか、またひとくぎりのなかに、訓と音をどのように用いるかなどの困難があったものの、全三巻として、翌和銅5年(712)正月28日に天皇に献上した。
    ところが、「序」は多くの謎を秘めている。登場する稗田阿礼は男性か、女性か、いまだに決着がついていない。また阿礼が「誦み習う」との語の意味も諸説があり、定説をみない。さらに『古事記』を献上した「正五位上勲五等太朝臣太安万侶」も、謎に包まれていた。ただし、安万侶については昭和54年(1979)1月20日、奈良市田原町此瀬(このせ)の茶畑から遺骨と墓誌が発見された。その銘には「左京四條四坊従四位下勲五等太朝臣安萬侶以癸亥年七月六日卒之 養老七年十二月十五日乙巳」と記されており、疑いもなく安万侶の墓誌である。安万侶の生年は不詳だが、この墓誌により卒去(しゅっきょ)は癸亥年(養老7年/723)7月6日であることが確かとなった。ちなみに「養老七年十二月十五日乙巳」は墓を造営した日であろう。
    そうすると、令和5年は、折しも太安万侶が卒去されて1300年になる。多くの困難を乗り越えて、日本国の宝物である『古事記』全三巻を完成させた安万侶公の御霊に感謝の意をささげたい。そのような心からの思いを込めて本書を刊行した。
    令和に入り、私たちはコロナの猛威にさらされ続けてきたが、ようやく行動制限がとかれ、マスクも解禁となった。コロナ収束といえるような状況のいま、あらためて『古事記』を読む意義はどこにあるか。
    『古事記』にみられる疫病といえば崇神天皇の御代が思い出される。この時、人民が死に絶えようとしたのを愁え嘆いた天皇は、三輪山の大物主大神を正しく丁重に祭ることにより、疫病はすっかりやみ、国家は平安になった。
    重要なのは、この大物主大神が現在も奈良県桜井市の大神神社にまつられていることである。つまり疫病がすっかりやんだ後も、倦(うま)ず撓(たゆ)まず疫病の神である大物主大神の祭祀を継続して今に至っていることである。『古事記』に記されているのは、その始源・原型にすぎないが、『古事記』を足で読むことにより、私たちがコロナ収束後をどのように生きるかを実感できるのである。
    「喉元過ぎれば熱さを忘れる」との諺が示すように、人間には忘れやすい性質がある。そこで、コロナで苦しんだ経験を大切にするためにも、あらためて『古事記』を足で読むことを本書から学び取っていただければ幸いである。

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