ずっと、終わったあとみたいな空気が続いている。
まだ何も始まっていないはずなのに、
誰かがいなくなった気配だけが残っている。
「西瓜の日」は、その気配だけで立っている。
やわらかいものはすぐ死ぬ。
綿雪、蜜蜂、アイスクリーム、鳩、百合、幽霊。
ぬるい夏が続くたび、冷たいものばかりが増えていく。
誰も名前で呼ばれない。
誰も顔を見せない。
でも、どこかに“あなた”がいる。
自分の言葉じゃ足りなくて、誰かの歌詞や映画や祈りを引きずってくる。
喉に骨がひっかかったまま話すような詩たち。
あやまり方がわからない人の手紙みたいな詩たち。
水の中みたいな文体。
夢の途中で話しかけられるような温度。
笑いそうになる瞬間もあるけど、だいたい泣きそうになる。
でも泣くのはなんか違う。
そういう違和感のまま読み終えることになる。
正しさはとっくに置いてきた。
あるのは気配と断片と、うまく割れない西瓜だけ。
🍉🍉🍉
意味を排除してあなたのユートピアを濡らす
果汁が手首に滴るー『西瓜の日』より
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