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幸せは温かい拳銃

  • 南3-4ホール | か-05〜06 (小説|エンタメ・大衆小説)
  • しあわせはあたたかいけんじゅう
  • 田原雄文
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 256ページ
  • 800円
  • https://x.com/secret_stockpot
  • 2025/5/1(木)発行

  • 「寸胴鍋の秘密」のサークル員の一人、田原雄文の作品。

    或る若者の身に起こった一週間の出来事を描く長編エンタメ小説。

    冬のコンビニで、僕が拳銃を拾うところから物語は始まる。
    果たして、それは本物なのか、偽物なのか。
    いったい誰のものなのか。
    僕は拳銃をどうするのか。

    物語を貫くのは、連続する圧倒的などんでん返し!!
    あなたは果たして、耐えられるだろうか。

             ・・・・・・・

     夕暮れどき、見知らぬ駅の広いロータリーの真ん中に仁王立ちしている。
     だらりと下げた右手には、あの拳銃が握られている。

     多数の制服警察官がぐるりと取り囲み、その一角に現場指揮官用の車両が一台、駐車している。
     車の屋根に設けられた指揮台の上で高堂警部補がマイクを口に当てている。彼の声が拡声器を通して歪んで四方に響く。
    「君は完全に包囲されている。諦めて拳銃をその場に置きなさい」
      右足を半歩ほど引き、体を斜めに構えた。
    「今なら君の罪は大したことにはならない。冷静になって考えなさい」
      右手をゆっくりと上げ、真ん前に見える一人の警察官に銃口を向ける。右手を包み込むようにして左手を添えた。
    「但し、一発でも打ってしまえば、無期懲役は確定だ。今なら間に合う。さあ、すぐに……」
     高堂が言い終える前にトリガーを引いていた。甲高い発砲音が耳をつんざくと、狙いを定めた警察官が腰から崩れ落ちた。

      躊躇うことなく撃っていった。左回りに一人一発ずつ、正確に一秒間隔で放った。
     都度、前腕に伝わる反動が心地良い。 彼らは誰も逃げようとはしない。加えて射撃精度は高く、全弾、心臓に命中する。
     いったい何発撃っただろうか。拳銃は弾切れなど起こさず、取り囲んでいた警察官は、全員が地面に倒れ込んでいる。

      銃口から硝煙が漂い続け、燃え尽きた花火のような匂いが鼻をつく。そして、僕の手の中で拳銃がほんのり温かい。

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