全ての嵐が去り、私は元気になった。小説を書けなくなるくらいに。
命の母に感謝を。ゴジラに祈りを。プリキュアに愛を。藤野に誓いを。
いつの日も、山田尚子に誇れる私であるために。人生の終わりで真善美にたどり着くために。
心が透きとおるまでの時間、嵐の中で降り積もった感情のパッチワーク。
空っぽのラムネ瓶。打ち捨てられたバス停。見渡す限りの田んぼと山。
そして夏の終わりに、小惑星が降ってくる。
十歳の「ぼく」にはあまりに途方もない話だった。
だが、ある時見知らぬ女の子に出会って──
ひと夏を描いたノスタルジックジュブナイルストーリー。
エミコは夢を見る。
壁一面に並んだ黒い哺乳瓶。贈ったはずのワインボトルの破片。
誰かを救っているつもりで、傲慢なエミコは懸命にガラスを噛み砕く。
救いたいエミコと救われたいエミコ、死にたいエミコを嘲笑うエミコ、ガラス片を踏む世界中のエミコの運命は、決して交わらない。