食べることが大好きな練馬区在住30歳女性がもぐもぐたのしく満腹になる食事日記。
第一弾の今回は、練馬東側エリアの酒場での記録をまとめました。
文学フリマ参加のきっかけとなった酒の濃い酒場でのひととき、なんてことないラーメン屋での意外な一品、著者の安心毛布になったカレーライス。
めくるめく食との出会いを自由に書いた作品です。
URLからも試し読みをどうぞ。
本文抜粋
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お店から三十メートルほどのところから、赤ちょうちんが見えてくると、「今日は飲むぞう」と気合いが入り、すでに内心わくわくしている自分がいる。透明ビニールの扉でできた店内を外からのぞくと、「おー!いらっしゃーい!」と元気な店主の声。店内は巨大なコの字カウンターがメインで、近所に住んでいる友人は先にカウンターに座っていた。既にアチャールとホッピーを愉しんでいる。
「おつかれおつかれ、遅れてごめんよお」
「いや全然y……」
友人の言葉が終わらないうちに店員さんに「お飲み物何にしましょう?」と聞かれる。私が生ビール一つくださいと答えると、僕も、と夫。
「はいよお!」
威勢のいい掛け声とともにすぐにビールが注がれ、ジョッキごとキンキンに冷えた生のハートランドが運ばれてきた。乾杯して一口ぐいと飲み、すかさずビールを出してまだすぐ側にいる店員さんを、そのまま呼び止める。
「注文もいいですか?タン二本、カシラは……一本、とりニンは……とりニンも二本、それからほうれん草の胡麻和えと、煮込みを玉子入りでお願いします」
と、私。夫も食べたいと思うものは、隣で夫が「二」を示すピースサインしてくるので、それを見て本数を調整しながら注文する。
「あっ、あとレバーとハツ一本ください、あと辛味たまごお願いします」
と、夫が付け加える。手慣れたチームプレーだ。流れるような初期動作に、まだ友人と会話する間がない。(第一章より)
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